News Release

NASAの探査機インサイトの着陸機による地震観測で火星内部が明らかに

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

NOTICE: This summary has been updated to correct misspellings of the last names of both Perspective authors. The Perspective authors are Sanne Cottaar and Paula Koelemeijer. We apologize for our error.

NASAの探査機インサイトの着陸機が、火星地震の直接観測に初めて成功した。今週号に掲載の3つの研究で示されているその観測結果は、火星の組成を知る手掛かりとなるものである。3つの研究の研究者らは、インサイト計画の暫定的調査結果について報告するとともに、地球から遠く離れた火星の内部地図の作成を始めている。関連するPerspectiveではSanne Cottaar とPaula Koelemeijerが、「3つの研究は、現在の火星の構造を制約するうえで重要なものであり、また、火星が数十億年前にどのように形成され、どう進化していったかについて、我々の理解を深める手掛かりとなるものである」と述べている。火星内部の層(地殻、マントル、中心核)を研究すれば、火星の地磁気活動や地殻変動が明らかになるだけでなく、形成と進化に関する重要な見解も得られる可能性がある。こうした深い内部領域は、地震などのイベント後に火星内部を伝わる波を測定することによって調べることができる。これまでも、地球の内部特性を調査する際に、この方法が用いられてきた。

2019年の初め、NASAの火星探査機インサイト(InSight:Interior Exploration using Seismic Investigations, Geodesy and Heat Transport:地震調査、測地学、熱輸送を使った内部探査)の着陸機は、火星表面において火星地震の検出および記録を開始した。そのなかには、地球の地殻変動に似た地殻下地震も含まれていた。Brigitte Knapmeyer-Endrunらが、火星地震や雑微動を用いて、インサイト着陸地点の地下における火星地殻の構造を画像化したところ、地殻は2つまたは3つの境界をもつ多層構造である証拠が見つかった。Knapmeyer-Endrunらはこのデータから火星全体を推測し、火星地殻の平均厚さは24~72キロメートルであることを示した。Amir Khanらは、8回の低周波火星地震で得られた直接の地震波と表面で反射した地震波を用いて、さらに深部を探り、800キロメートル近い深さまで火星マントルの構造を明らかにした。その研究結果は、地表の約500キロメートル下には厚いリソスフェア(岩石圏)があり、地球と同じように、その下に低速度層がある可能性を示唆している。またKhanらによると、火星地殻の層は発熱する放射性元素を非常に豊富に含んでいるらしく、火星内部を使ってこの領域を熱しているという。さらにSimon Stählerらは、火星のコア・マントル境界で反射される微弱な地震信号を用いて、火星の中心核を調べた。その結果、火星の相対的に大きな液体金属の中心核は、半径が約1830キロメートルで、地表と中心のほぼ中間から始まっていることがわかった。このことから、火星のマントルは、地球のマントルのように2層ではなく、ただ1つの岩層から成ることが示唆される。Stählerらによると、この研究結果は、鉄とニッケルから成る中心核はこれまで考えられていたよりも密度が低く、軽元素が豊富に含まれることを示しているという。Cottaar とKoelemeijerは「火星の地震を直接観測できたことは、惑星地震学における大きな前進といえる」と述べている。「今後数年で、さらに多くの火星地震が測定されることにより、これらの火星モデルは改良され、火星の不可解な謎がさらに解明されるだろう。」

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