News Release

夜間に渡りを行う鳴禽類は障壁を超えて長距離飛行する際に高度を上げる

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ニシオオヨシキリは本来なら夜間に渡りを行うが、地中海とサハラ砂漠を越える際は、昼間も飛び続ける。ただし、これまで知られていなかったが、夜間は上空約2000メートルだった飛行高度が、昼間には5000メートル以上になるという。この鳥が地理的障壁を越えて昼間飛行で到達する高度を研究した結果、これまで認識されていなかった渡り鳥の行動が明らかになり、夜間の渡りの進化についても説明できる可能性が出てきた。毎年、膨大な数の渡り性鳴禽類が、年に一度の渡りで、大陸をまたいで長距離を移動する。多くの種が夜間に飛行することを選択し、昼間は陸上で休息と栄養補給を行って、再び夜の旅に出発する。しかし、一部の種の渡りの進路では、上陸する選択肢がほとんどないような荒涼とした地域(砂漠や海洋など)を越えて、長距離を移動することになる。これまでの研究において、この鳥は厄介な障壁を超える場合に、夜間飛行を延長して昼間飛行または無着陸飛行を行うことがあると示されていたが、こうした飛行の延長をいかに成し遂げているかについては、ほとんどわかっていなかった。障壁を越える際の渡り性鳴禽類の飛行行動について理解を深めるため、Sissel Sjöbergらはニシオオヨシキリに特注のマルチセンサデータロガーを装着し、欧州の繁殖地と熱帯アフリカの越冬地の間を渡る、年に一度の旅を追跡した。この旅では地中海とサハラ砂漠を越えなければならない。Sjöbergらは、障壁を越える際にヨシキリが昼間まで飛行を延長したことを見出した。しかし意外なことに、夜明けになるとこの鳥は急激に高度を上げ、夜間の飛行高度の2倍以上となる海抜6200メートルに達し、日が暮れると、夜間の平均高度にまで急激に降下したことがわかった。Sjöbergらは、夜から昼にかけて飛行高度が著しく増加した理由は定かではないとしながらも、環境光や温度調節、風、捕食、視界、太陽放射への曝露といった日変化が関係しているのではないかと示唆している。著者によると、今回の研究結果によって、高度を上げずに長距離を移動する渡り鳥の圧倒的多数が、概して夜間に渡りを行う理由が説明できるという。

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