【発表のポイント】
- 電気抵抗を多様に制御できる新型スピントロニクス素子を開発
- 脳において高度な情報の処理・記憶・学習を可能としているニューロンとシナプスの動的な振る舞いを開発した新型スピントロニクス素子で再現
- 脳を模した柔軟性とエネルギー効率に優れた情報処理が可能なコンピュータへの発展に期待
【概要】
国立大学法人東北大学電気通信研究所の大野英男教授(現総長)、深見俊輔准教授、アレクサンダー・クレンコフ学術研究員、堀尾喜彦教授らは、脳の神経回路網を構成するニューロンとシナプスに似た動作を示す新型のスピントロニクス素子を開発しました。この素子を用いることで生体の神経回路の機能を人工的に実現でき、それを発展させることで人間の脳のように柔軟な認識や判断、学習や記憶ができ、かつ常に変化する環境への適応性やエネルギー効率に優れた全く新しいコンピュータの実現へと繋がっていくものと期待されます。
東北大学は、電子の持つ電気的性質と磁気的性質の二つを高度に利用するスピントロニクスと呼ばれる学術分野を得意としています。今回、研究グループはスピントロニクスの原理を駆使することで、電気的な入力に対して従来にはない変幻自在な挙動を示す材料系を開発しました。そしてこの材料系からなるスピントロニクス素子によって、脳神経回路の重要な基本構成要素であるニューロンとシナプスの振る舞いを再現することに成功しました。
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本研究成果は2019年4月16日19:00(日本時間)に欧州の科学誌「Advanced Materials」のオンライン版で公開されました。
Journal
Advanced Materials