News Release

希土類元素の使用を低減する新しい排ガス浄化触媒コンバータを開発

Peer-Reviewed Publication

Kumamoto University

Improved Oxygen-Storage Composite, CeO2/MnFeOy, for 3-Way Catalysts

image: A newly developed catalyst from Japan, CeO2/MnFeOy, has both fast release and large storage capabilities for oxygen. Its high performance in the converting rate of NOx, CO, and total hydrocarbon to less harmful materials was comparable to a reference catalyst despite using 30 percent less of the rare earth element, Ce. Adapted with permission from Machida, M.; Ueno, M.; Omura, T.; Kurusu, S.; Hinokuma, S.; Nanba, T.; Shinozaki, O. & Furutani, H., CeO2-Grafted Mn-Fe Oxide Composites as Alternative Oxygen-Storage Materials for Three-Way Catalysts: Laboratory and Chassis Dynamometer Tests, Industrial & Engineering Chemistry Research, American Chemical Society (ACS), 2017, 56, 3184-3193. DOI: 10.1021/acs.iecr.6b04468. Copyright 2017 American Chemical Society. view more 

Credit: Professor Masato Machida

大気中に放出される有害な大気汚染物質の量を減らすため、自動車業界はますます厳しい排出規制に対応することを迫られています。例えば、日本における現在の窒素酸化物(NOx)および非メタン炭化水素の排出基準は0.05g / km未満です。現在、有害な排出物を低減する方法の一つとして、高性能な「三元触媒コンバータ」があります。この装置は、有害な窒素酸化物を窒素と酸素に還元し、一酸化炭素を酸化させて二酸化炭素に変え、未燃炭化水素を酸化させて二酸化炭素と水に変えます。ところが、この装置には希土類元素であるセリウム(Ce)を使用する必要があります。セリウムは近年価格が上昇しており、供給上の問題が生じる可能性がある物質です。熊本大学の町田正人教授は、触媒コンバータに使用されるセリウムの量を減らす方法を研究しており、セリウムに代わる代替物質を見つけています。

町田教授は最新の研究において、触媒中のセリウムの量を減らすため、産業技術総合研究所(AIST)との共同研究で酸化セリウム(CeO2)をMnFeOyにグラフト化(CeO2/MnFeOy)し、 この2つの新しい触媒を2つの対照触媒CeO2/Fe2O3およびCeO2/Mn2O3と比較しました。一酸化炭素昇温還元法による酸素放出の分析結果を評価すると、CeO2/Mn2O3が350℃以下から550℃以下のCeO2/MnFeOyよりも高い酸素放出速度を示したにもかかわらず、新しい触媒は最も低い温度で酸素放出を開始していることがわかりました。これは、Fe2O3とMn2O3を組み合わせてCeO2を表面にグラフトすることによって、酸素放出能が改善されたということを示します。

酸素のゲートウェイ効果の証拠を裏付けるCeO2添加によって、酸素貯蔵能(OSC)が改善することも見出されました。研究者らは、これは、2つの酸素貯蔵材料が一緒にされたときの能率上昇によるものだと考えています。しかし、最も重要なのは燃料リッチおよび燃料リーン排気中の空燃比(A/F)の変動を緩衝する、三元触媒コンバータの能力です。この能力を実験するため、CeO2/MnFeOy触媒に対してPd/Al2O3を基準触媒として使用しました。その結果、新しい触媒は顕著な緩衝効果を示しましたが、対照となる基準触媒には緩衝効果が全く見られませんでした。さらに、緩衝効果は、空燃比の周波数の変動が増加するにつれて増加することがわかりました。これは、実験の初期段階におけるCeO2の高い酸素放出速度に起因すると考えられます。

続いて、研究者らは現実の世界にもっと酷似した条件で新しい触媒を実験しました。ガソリンエンジン用の日本標準の燃費測定方法「JC08モード」(ホットスタート)を使用して、2つ(新しい触媒用及び対照触媒用)の実サイズのハニカム触媒を開発し、シャシ・ダイナモメータ上の4気筒1339ccガソリンエンジンを使用してその性能を比較しました。新しい触媒は1wt%のRh担持CeO2/MnFeOyと2.5wt%のPd/Al2O3との1:2の重量比のものであり、対照となる基準触媒は1wt%のRh/CeO2とPd/Al2O3の混合物です。新しい触媒は基準触媒より使用するCeO2が30%少なく、結果として必要となる希土類金属を低減することが明らかになりました。

フルサイズの触媒コンバータの実験では、両方のコンバータの全炭化水素の転化率が20分の実験を通して非常に高く、また比較的一貫しており、基準触媒の方が全体的にわずかに上回っていることが明らかになりました。一酸化炭素と窒素酸化物の転化率は、両方の触媒のエンジン速度、加速、減速度によって大きく変化し、両触媒の差は非常に小さいと考えられます。CeO2が30%減少したにもかかわらず、新しい触媒の性能は対照触媒と非常に類似していました。

町田教授は以下のようにコメントしています。「我々の開発した新しい触媒は大きな可能性を示しており、特に低温で性能を向上させる方法を見つけることができればと思っています。セリア・ジルコニア(CeO2–ZrO2)は高い反応速度での酸素貯蔵および酸素放出に良好に作用するため、我々は現在、このセリア・ジルコニアとMnFeOy酸素貯蔵器との複合装置の作製に取り組んでいます。触媒の性能を向上させ、同時に使用される高価な希土類元素の量を減らすことができれば幸いです。」

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本研究成果はAmerican Chemical Societyのジャーナル「Industrial & Engineering Chemistry Research」に2017年3月8日に掲載されました。

[Citation]

Machida, M.; Ueno, M.; Omura, T.; Kurusu, S.; Hinokuma, S.; Nanba, T.; Shinozaki, O. & Furutani, H., CeO2-Grafted Mn–Fe Oxide Composites as Alternative Oxygen-Storage Materials for Three-Way Catalysts: Laboratory and Chassis Dynamometer Tests, Industrial & Engineering Chemistry Research, American Chemical Society (ACS), 2017, 56, 3184–3193. DOI: 10.1021/acs.iecr.6b04468


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