News Release

特集号:温暖化する世界における冷却技術

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

今回のScience の特集号ではPerspectiveとReviewのそれぞれ3本で、急速に温暖化する地球で人間と人間が依存する材料を冷たく保つことを目的にした様々な技術やソリューションの新規開発や改良を取り上げている。

記録破りの熱波と極端な気温事象が世界的に増加しているが、その影響の数値化はますます難しくなってきている。1本目のPerspectiveではSteven Sherwoodが、地域的な熱事象の結果を予測したり把握したりすることに関係する難しさについて論じている。Sherwoodは世界の貧困層は極端な気温に最も弱いと述べ、気温上昇に立ち向かうための低コストの適応策と技術の必要性を取り上げている。2本目のPerspectiveではPo-Chun HsuとXiuqiang Liが、光子で制御する放射冷却生地の概要を述べている。HsuとLiによると、地球温暖化によって、着る人を冷やす革新的な新しい生地に対する需要が生まれたという。皮膚と周辺大気の間の放射熱伝達を向上させる様々なタイプの冷却生地は、衣類による個人向けの有望な熱管理方法で、光熱費の高い屋内空調の必要性を低減することに有用だと考えられる。3本目のPerspectiveではAmy Fleischerが、データセンターの冷却に対する高まる需要を取り上げている。世界のデータセンターでは膨大な量の情報を保存・サポートしており、それらをオンライン上に維持するのに必要なエネルギーの総量の大半はセンターを冷やしておくのに使用されている。Fleisherは、コストと熱の排出を増やさずにデータセンターを冷却するためのエネルギーの需要増加に対処するために使う改善点と新しい方法について論じている。

1本目のReviewではMark McLindenらが蒸気圧縮冷凍について概説している。これはおそらく地球で最も広く使用されている冷却技術である。大半の冷凍および空調システムは蒸気圧縮が基本になっている。しかしそれらは効率が悪い上に、有害な冷媒を含有することも多く、大気中の温室効果ガスのさらなる一因となってしまう可能性がある。McLindenらによると、現在の蒸気圧縮冷却装置の地球温暖化係数が高いことから、この技術を改善したり、より環境に優しい新しい代替冷却装置を開発したりする試みがなされているという。2本目のReviewではXavier MoyaとNeil Mathurが、冷却と加熱の目的で熱材料を使うことについて概説している。熱材料は電気的、磁気的、機械的に操作すると熱を輸送する。MoyaとMathurによると、磁気熱量材料、電気熱量材料、熱機械材料は室温に近い温度で稼働するプロトタイプの冷却装置で有望なことが示されているという。3本目のReviewではXiaobo Yinらが、受動的放射冷却材料の使用について説明している。この冷却材料は大気の窓を利用して赤外線放射という形で冷えた空間に熱を放出する。これらの冷却システムを建物の屋根に設置すると、日中や直射日光の下であっても建物を数度冷やすことができる。

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