News Release

海に生息する魚種間にはたらく複雑な関係性を捉えることに成功

緩い種間関係と種の多様性が生態系を安定化

Peer-Reviewed Publication

Kyoto University

Life in Maizuru Bay

image: Researcher spends over a decade recording the changes in the populations of all the fish and jellyfish he encountered. view more 

Credit: Kyoto University / Reiji Masuda

野外の生態系における生物種間には、ある生物種の個体数が増減すると他の生物の個体数もその影響を受けて増減する、種間相互作用と呼ばれる力が働いていると考えられています。また、多様な生物種が相互作用する生物群集にはその動態を安定化させる仕組みが備わっており、環境が多少変化しても想定外の大変動や破綻が生じにくくなっているのではないかと考えられてきました。しかし、野外において種間相互作用(=種間に働く力)を観察したり、個体数変動の安定性を測ったりすることはいずれも困難なため、多種の間に働く非常に多くの種間相互作用を詳細に描き出し、それが生物群集の安定性に及ぼす影響を野外で検証した研究は過去に例がありませんでした。

本研究グループは、舞鶴湾で12年間に渡って続けられた潜水調査データを、新しく開発した数理的手法で分析しました。その結果、湾内に生息する主要な15種の生物(14種の魚とクラゲ)の間に働く相互作用を捉えることに成功しました。さらに、舞鶴湾の魚類群集は夏季に安定になり、冬季に不安定になるという季節変動を示すこと、舞鶴湾の魚類群集は、魚種の種類が多くなり、種間相互作用が弱められることで安定になることを突き止めました。

本研究で提案したデータ解析の枠組みは様々な野外生態系で生物個体数の変動予測やそのメカニズムの理解に貢献できます。また、地球上の様々な生態系から得られた時系列データに適用することで生物の個体数変動の一般則が見えてくるかもしれません。さらに、長期生態系観測はすぐには評価されにくい地道な仕事ですが、今回の研究ではそこから得られたデータが中心的な役割を果たしており、継続的な生態系観測やそのサポートの重要性も示せたと思われる。

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