自動運転車やインテリジェント機械の領域に手術を一歩近づけるものとして、研究者らは監視下の自動ロボットにより軟部組織手術が成功裏に実施できることを初めて示している。このロボットはブタでの開腹腸手術において、専門の外科医や現在のロボット支援手術よりも優秀であった。ヒトによる介入をなくすことにより、自動ロボットは、米国で年間約4,500万件実施されている軟部組織手術において合併症を減少させ、安全性と有効性を改善できる可能性がある。現在のロボット支援手術は、外科医の手動によるコントロールに頼っており、手術成績には個々の外科医の訓練と経験によってばらつきが生じ得る。手術を自動化する取り組みは、骨切り術など硬組織で進んでいたが、可塑性と可動性があり、より予測が難しい軟部組織では困難であることが示されていた。Azad Shademanらは、複雑な外科手術の作業を実行するための、Smart Tissue Autonomous Robot(STAR)と呼ぶロボットのデザインとプログラミングを行った。ロボットアームと手術器具を装備したSTARは、高性能の画像技術と蛍光マーカーを組み合わせることで軟部組織におけるナビゲートと対応が可能である。研究者らは、開発したロボットを、専門外科医による手動の手術、腹腔鏡検査、およびda Vinci Surgical Systemによるロボット支援手術との比較を試みた。監視下においてSTARは、ブタを用いてのex vivoおよびin vivoの両方で、腸吻合として知られる腸セグメントの縫合および再結合において、比較されたどの方法よりも優れていることが示された。手術を受けたブタは、術後も合併症なしに生存した。研究者らによれば、さらに開発が進めば、やがて自動ロボット手術により手術室からヒューマンエラーが一掃され、腸手術、腫瘍摘出術およびその他の軟部組織手術を受ける患者のケアが改善される可能性があるという。
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Journal
Science Translational Medicine