News Release

使用者に多くの利益をもたらすニューロロボティクス義足の研究が受賞

Reports and Proceedings

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Stanisa Raspopovicは、重要な感覚情報を着用者に伝えることのできるニューロロボティクス義足を開発し、その研究に対してニューロモデュレーション(神経変調療法)に関するScience & PINS賞の2021年度大賞を受賞した。Raspopovicが開発したシステムは、より現実感のある物理的フィードバックを返すとともに、幻肢痛を軽減するものであり、試着者は「身体化(着用者が人工装具を自分の体の延長であるかのように感じること)」の感覚が増したと報告している。その結果として、日常の障害物をより速く円滑に避けて歩くことや、より効率的なエネルギー利用が可能になり、後者は着用者の代謝コストと心血管ストレスを減らすことに直接反映された。近年、切断患者の手足の基部に残存する神経に人工装具のセンサーを直接つなげるという、より高性能な末梢神経系(PNS)インターフェースの開発において、大きな進展が見られる。Raspopovicは、こうした進歩の大部分が上肢切断患者のニーズを重視していることに注目し、世界中の切断患者のおよそ5人に4人が下肢を失っていることから、臨床的必要性が満たされていないと考えた。Raspopovicらは、圧力と動きを検出できるセンサーを備えた「感覚のある脚」を設計した。これらの情報はPNSインターフェースを介して着用者に伝えられる。研究者らは計算モデルを使って、標的となる神経に移植する接続の最適数を決定した。センサーのおかげで、特殊なメガネをかけて視野の下半分を見えなくした場合でも、試着者は多くの障害物を避けることができ、また階段や砂地を歩く能力も大幅に向上した一方で、代謝エネルギー消費量は減少した。また、PNSインターフェースには「神経ペースメーカー」モードも備わっており、義足をつないでいない状態でも、治療目的で着用者の残存神経を刺激することができる。計算機モデルによって情報を得て、神経経路を正確に標的にすることで、より自然な神経入力を再現するための移植が可能になり、試着者は幻肢痛が減少したと報告した。また、2021年度の本賞のファイナリストには、評論「協調して神経回路を操る」を著したWeijian Yangが選出された。


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