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まれな遺伝子バリアントにより人畜共通感染症H7N9への感受性が高まる

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

MX1遺伝子のまれな一塩基多型が人畜共通H7N9鳥インフルエンザ感染症に対するヒトの感受性を高めることが、新しい研究で示された。この知見は、人畜共通インフルエンザAウイルス(IAV)感染症の制御において、MX1に基づく抗ウイルス防御が重要な役割を果たすことを示す遺伝的エビデンスを提供しており、このような遺伝的脆弱性を有する人が、病原性のある新しいIAVサブタイプを伝播させるインキュベータとなる可能性があることを示唆している。人畜共通鳥インフルエンザ感染症はまれであるが、新しいパンデミックウイルス株の起源となりうるため、スピルオーバーが依然として懸念されている。最近の大発生の1つは、2013年に初めてヒトで同定されたH7N9鳥インフルエンザウイルスが原因であった。ヒトのH7N9感染は依然として比較的まれであり、ヒト間でのウイルスの持続した伝播はまだ認められていないが、このインフルエンザサブタイプは特に致命的であり、死亡率は約39%で、SARS-CoV-2をはるかにしのぐ。このような潜在的リスクがあるにもかかわらず、IAVの異種間伝播を可能にする分子機構はあまりわかってない。現時点では家禽への曝露がヒトH7N9感染の主なリスク因子である。しかし、職業的な家禽労働者は全報告症例のわずか7%である。これらの観察結果は、ヒトの遺伝的要因が人畜共通ウイルスの感受性に何らかの役割を果たしている可能性を示唆している。Yongkun Chenらは、全ゲノム配列決定を用いて、2013~2017年にH7N9感染症であることが確認された漢民族患者220名、および対照としてウイルスに高度に曝露されうる健康な家禽労働者集団における、H7N9感染症のまれな遺伝子変異の役割を検討した。Chenらは、検査で確認されたH7N9感染症を有する労働者に、MX1遺伝子(マウスにおいてIAV感染症を制御することが知られているインターフェロン誘発性抗ウイルスタンパク質をコードする)の複数の欠損性の一塩基多型が認められたことを明らかにした。Chenらによれば、ヒト細胞を用いたin vitro感染実験で、同定されたMX1バリアントの大半(17中14)は、H7N9を含む鳥IAVの阻害能を失っていた。「将来、パンデミックウイルスのリスクを低下させるためには、MX1の有害な差異に関して、脆弱なヒト集団をスクリーニングすることが…疾患サーベイランスにおいて重要であろう」とChenらは述べている。


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