News Release

銀ナノ粒子は微生物燃料電池の性能を高める

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Shewanella属細菌を銀ナノ粒子でコーティングすると、バイオフィルムベースの微生物燃料電池の性能が高まることが、研究者らによって報告されている。このような効果が得られるのは、燃料電池において微生物からグラフェン電極への電子移動が改善されるためである。微生物燃料電池(MFC)は、電極における微生物の代謝により生成したエネルギーを抽出することで、有機物内に蓄えられた化学的エネルギーを、細菌を用いて直接電気に変換する。MFCは幅広い有機燃料を用いて電気を生成できるため、この技術はバイオマスや排水の処理による再生可能エネルギー発電にとって魅力的である。こうしたシステムの燃料に用いられる細菌の中で、Shewanella属細菌は特にこうした役割に適しており、これまで詳細な研究が行われている。しかし、このシステムを改良するためにかなりの努力がなされているにもかかわらず、Shewanella属細菌を用いた現在のMFCは多くの場合、電流密度および電力密度が弱く、これは主として、微生物と陽極との間における電子移動が効率的に行われないことによる限界である。今回Bocheng CaoらはShewanella属細菌を用いたMFCの性能を高めるための新たな戦略について報告している。Caoらは、還元型参加グラフェン/銀ナノ粒子(rGO/Ag)陽極にこの細菌をおくと、銀ナノ粒子が細菌の細胞膜に結合して、その電子移動効率を大幅に高めることを発見した。著者らによれば、こうして得られたMFCでは、最高電流密度が3.85mA/cm2、最高電力密度が6.6W/m2、そしてクーロン効率(CE)が81%となり、これらの値は全て、これまで報告された他のMFCよりもかなり高いものである。「Caoらによって報告された電子抽出の最適化と高いCEは、細菌による電子移動における分子メカニズムに関する知見が、微生物を用いた電気化学技術のデザインにとって有用となり得ることを示す良い例である」と、Erin GaffneyとShelley Minteerは関連するPerspectiveで記している。


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