News Release

探査機ジュノーのデータから木星の大赤斑の深さと構造を探る

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

木星を象徴する大赤斑(GRS)は、直径1万6000キロメートルにもなる大嵐であり、数世紀にわたり木星の大気中で渦巻いている。探査機ジュノーの新しいデータを用いた2つの研究によると、巨大ガス惑星である木星の大赤斑は、以前の予想よりも深くにまで達しているという。今回の研究結果から、木星の気象および、気象と木星深部とのつながりについて、新たな見識が得られた。木星大気には、巨大な嵐や帯状に回転する風が多数存在し、その代表例であるGRSは、地球が丸ごと入ってしまうほど大きな嵐である。しかし、こうした嵐が木星大気の最上部に限定されているのか、それとも木星深部にまで達しているのかは、はっきりわかっていない。Scott BoltonらとMarzia Parisiらによる2つの研究では、探査機ジュノーから得られたマイクロ波測定値と重力測定値をそれぞれ用いて、GRSをはじめとする木星大気の渦の特徴を調べた。Boltonらが、マイクロ波放射計(MWR)という機器を用いて、GRSと2つの嵐について垂直構造を調べたところ、水とアンモニアが凝縮する予想高度よりも低いところまで、これらの嵐が達していることがわかった。GRSでは、これが特に顕著だった。著者らによると、この結果は、以前の予想よりもはるかに深いところに、小規模の動力学過程(降水や下降気流など)が存在することを示唆しており、木星内部と下層大気とのつながりを示すものだと考えられるという。一方Parisらは、GRSの重力の特徴を調べ、GRSの深さをさらに制約した。探査機ジュノーがGRS上空を通過した際に得た重力測定値のなかに、Parisiらは、GRSによって生じる木星重力場の変動を検出した。GRSは大気の深くに根差しているものの、GRSの原動力である周囲の帯状ジェット気流はもっと深くにまで達しており、それに比べればGRSははるかに浅い。研究結果によると、GRSの深さはせいぜい500キロメートル程度であるのに対し、周囲のジェット気流は3000キロメートルの深さに達しているという。


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