News Release

界面活性剤の作る玉ねぎ構造に隠れた欠陥を発見

Peer-Reviewed Publication

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

image: Researchers from The University of Tokyo Institute of Industrial Science use optical microscopy to form a picture of what’s really going on inside surfactant onions view more 

Credit: Institute of Industrial Science, the University of Tokyo

田中 肇 東京大学名誉教授(研究当時:東京大学 生産技術研究所 教授、現在:東京大学 先端科学技術研究センター シニアプログラムアドバイザー)、東京大学 教養学部2年の伊崎 義理 学部生(研究当時)、生産技術研究所の栗田 玲 特任助教(研究当時、現在:東京都立大学 教授)の研究グループは、界面活性剤の二分子膜が水中で形成する玉ねぎ状の多重膜構造(オニオン構造)の内部に隠れた直線状の欠陥を発見した。

オニオン構造は、界面活性剤や生体膜などのソフトマテリアルから炭素などのハードマテリアルに至るまで、さまざまな物質で広く観察されている。界面活性剤は、水になじみやすい親水部と油になじみやすい疎水部を持ち、水中では疎水部を内側とするよう自発的に二分子膜を形成する傾向がある。この膜が周期的に層状に並んでラメラ相を形成し、ラメラ相が玉ねぎ状に組織化してオニオン構造が形成される。オニオン構造の外形は完全な球体であり、あたかも点対称で継ぎ目のない内部構造を持っているかのように見えるため、オニオンの内部と外部は隔絶されていると考えられてきた。

本研究では、球状のオニオン構造と平坦なラメラ相の層構造との融合・合体過程を光学顕微鏡で直接観察した。その結果、オニオン構造はその形成過程にできた半径方向に沿った直線状の欠陥を持つこと、つまり、植物の玉ねぎのように軸対称性は持つものの点対称性は持たないことが明らかとなった。今回の発見は、オニオン構造の内部と外部は欠陥を通してつながっていることを意味し、オニオンの内部構造の理解にとどまらず、医薬品分野をはじめとするオニオン構造の応用に役立つと期待される。


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.