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地球温暖化で赤い雪が広がる?~微生物が引き起こす赤雪現象を、地球まるごとシミュレーション~

Peer-Reviewed Publication

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

image: Researchers from Institute of Industrial Science, The University of Tokyo find that the occurrence of red snow is closely tied to the length of the snow melt season and new snowfall events view more 

Credit: Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

雪氷藻類は、世界中の氷河や積雪上に繁殖している光合成微生物です。アスタキサンチンという赤い色素を細胞内に貯め込む雪氷藻類が大繁殖すると、雪が赤く染まったように見える「赤雪」と呼ばれる現象が起こります。雪の表面が赤くなると太陽光が吸収されやすくなり、積雪の融解が加速することや、雪の中の有機炭素量の増加により地球全体の炭素循環が変化することから、赤雪が気候に与える影響が問題視されてきました。

東京大学 生産技術研究所と千葉大学 大学院理学研究院の共同研究グループは、全球の赤雪発生を予測する数値モデルを構築し、世界初の赤雪の全球シミュレーションに成功しました。シミュレーションの結果は、世界各地で報告されている赤雪発生の時期や分布を概ね再現できていました。また、世界各地の赤雪の発生が、降雪頻度と融雪期間に依存して決まることも分かりました。

近年の地球温暖化によって赤雪の発生時期の早期化、発生地域の拡大が示唆される一方、微生物活動による積雪や氷河の融解や炭素循環の変化が気候変動へ与える影響も懸念されています。今後、本シミュレーションを活用して、微生物活動がもたらす気候変動への影響を解明できるようになることが期待されます。

なお、本成果はアメリカ地球物理学連合が発行するオンライン学術雑誌「Journal of Geophysical Research: Biogeosciences」(2月2日発行)に掲載されました。
 


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