創感染および尿路感染症の患者数千人のデータを用いて構築した機械学習モデルにより、反復性感染症における抗菌薬耐性に寄与する因子が特定された。この研究の著者らは、患者の感染歴と抗菌薬治療を患者の人口統計学的データとともに用いることで、どの抗菌薬候補が反復性感染症を予防する可能性が高いかを予測できると述べている。「今回示したような機械学習勧告システムは、患者の転帰を大幅に改善する可能性があり、抗菌薬耐性の軽減に重要な役割を果たす可能性がある」と、関連するPerspectiveでJean-Baptiste LagagneとMary Dunlopが述べている。多くの場合、一般的な尿路感染症(UTI)や創感染などの細菌感染は、患者の細菌叢の細菌から播種される。このような感染症の治療にはさまざまな抗菌薬が使用されることが多い。重篤な感染症ではよく抗菌薬感受性の評価が行われ、それに基づいて特定の薬剤が使用される。しかし、最初の治療で感染症を治療できても、抗菌薬の使用によって耐性株が出現して、以前の感受性株に取って代わる可能性があると考えられている。そのため、当初は抗菌薬感性と診断され治療されていた感染症が再発し、生命を脅かすような薬物抵抗性を示す場合がある。Mathew Stracyらは、200,000件を超えるUTIと創感染の大規模な縦断的データセットとそれに関連する患者の細菌叢プロファイルを用いて、最初の抗菌薬治療が有効ではなかった症例を探索した。これらの症例で一部の感染症がその後に耐性を獲得した理由をよく理解するために、Stracyらは、早期UTI再発を経験した患者が持つ細菌のゲノム配列決定を行い、最初の感染時と再発時に生じた株および種の詳細を比較した。その結果、耐性を獲得した再発は、最初に感染した株の点変異ではなく、株の置換によって引き起こされたことが明らかになった。「この解析により、最初の種は治療され排除されるが、治療によって最終的に他の耐性株が出現しやすくなるという、これまで正当に評価されていなかった再感染への道筋が明らかになった」とPerspectiveでLagagneとDunlopは述べている。Stracyらは、結果として得られたデータを用いて、個々の患者のレベルで病原体が特定の抗菌薬に対する耐性を獲得するリスクを予測する機械学習モデルを作成した。
Journal
Science
Article Title
Minimizing treatment-induced emergence of antibiotic resistance in bacterial infections
Article Publication Date
25-Feb-2022