News Release

海洋RNAウイルスの世界的調査により地球上のRNAヴァイロームの起源と数に光が当てられる

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

世界中の水域からおける海洋RNA配列の詳細な評価により、これまで知られていなかった数千ものRNAウイルスが同定され、これは既知のRNAウイルス門の2倍であり、その中にはRNAウイルスの進化における「ミッシングリンク(失われた環)」となるものがいくつか含まれている。RNAウイルスは、疾患におけるその役割以外はほとんど知られていないが、今回の研究結果から、生態学上の関連性と進化の起源がより明らかにされている。ウイルスは生命のあらゆる領域に存在し、進化、生物的多様性、および地球化学的サイクリングの推進力として重要な役割を担っている。地球上のヴァイローム(ウイルス叢)についてその無数の機能を理解しようとする取り組みは、これまでDNAウイルスに焦点が当てられてきた。DNAウイルスは数が多く多様で、生態系で重要な役割を果たしていることが知られている。これに対してRNAウイルスは、動植物における病原体としての役割以外には、環境中におけるその存在についてはほとんど研究されていない。Ahmed Zayedらは、タラ海洋探査において採取された世界中の海洋RNA配列から約28のテラベースについて分析することでこの知識のギャップに取り組み、海洋RNAウイルスに関する知識内容を大きく広げることとなった。Zayedらの分析により、オルソナウイルス門(RNAウイルスの一種)の数が5つから10へと2倍になり、再構成された系統樹からRNAウイルスの進化に関する新たな知見が明らかされた。著者らはこれら新たな門の中に、世界中に分布しており、レトロエレメントに関してウイルス進化の「ミッシングリンク」となるTaraviricotaを発見し、このことからこれらの2種は共通の祖先を有していることが示唆される。著者らによれば、今回の新たな所見は、生態、進化および疫学のモデルにRNAウイルスを今後組み込む上で不可欠の基本的知識となるものである。「Zayedらが行ったような研究は、ウイルスと細胞の世界の間のつながりを明かにし、これにより完全に統合された生命の進化樹の作成と、全ての生命の起源と進化に対するより完全な理解が可能になる」と、関連するPerspectiveでJessica LabontéとKathryn Campbellは記している。


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