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エアロゾル粒子内での光増幅が光化学反応を加速する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

大気エアロゾル粒子の中の光増幅はエアロゾル粒子の光化学的挙動に作用して、日光による粒子内の光化学反応、つまり粒子内の物質の分解と酸化の主要要因を大幅に促進することができる。これは理論化されてはいるものの、今回の新しい研究が提供したのは直接的なエビデンスで、光閉じ込め(OC)の影響によって粒子内部で光強度の空間構造形成が起こり、結果として光化学反応の速度が変化することが示された。新たに発見されたエアロゾル粒子の光化学的現象の重大性を考慮すると、大気エアロゾルモデルにOC効果を組み込むことで全地球的な化学と気候の予想能力が向上すると考えられる。大気エアロゾル粒子―― 大気中に浮遊する固体微粒子や液滴 ―― は、とても小さいとは言え、気候や大気質に多大な影響を及ぼす要素であり、全球大気モデルの主要な要素でもある。エアロゾルが日光に暴露して起こる光化学反応は、汚染物質と気候に影響を及ぼすガスの生成と抑制など、大気化学の中核を成している。Pablo Corral Arroyoらは今回、エアロゾル粒子内の光化学反応に対するOC効果について報告している。エアロゾル粒子の光化学的挙動に対するOC効果は、これまでの研究で予想されては来たものの、この現象を直接観察するのは依然として難しい。X線分光顕微鏡イメージングと単一クエン酸鉄(III)粒子(光化学的に分解したエアロゾル)のモデリングを併用して、Corral Arroyoらは、エアロゾル粒子が入射する太陽放射に対して共振器として作用し、結果として粒子内で光の全般的な増幅と空間構造化が起こり、それによって粒子内での光化学反応が加速することを示している。彼らはこの研究結果から、これによって大半の種類の大気エアロゾル粒子は光化学反応を2~3倍加速できるのではないかと予測している。


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