News Release

インフラに手を加えることなく、海底光ケーブルを環境センサーアレイに転用する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

1本の長い光ケーブルを、周囲の活動を検出可能な複数の個別セグメントとして転用する方法を用いれば、海底通信ケーブルは広大な海底環境センサー網になる。この新しい方法は、光ファイバーを用いた海底センシング技術の有用性を実証した過去の研究に基づくものであり、海底地震振動や海流を高い精度で検出し、その特徴を明らかにできる可能性がある。「海底ケーブルを環境センサーアレイに転用することによって、既存の海底インフラに手を加えることなく、数百または数千個の常設リアルタイム海底センサーからなる大規模センサー網を実現できる」とGiuseppe Marraらは述べている。「これにより、地球内部の表層および深部で起こる変化について、我々の理解が一変するだろう」。既存の通信用海底光ケーブルを海底センサーとして用いることで、地震活動をはじめとする海底の擾乱が監視可能なことを実証した研究が増えている。しかし、これまでの技術では、全長数千キロメートルにもなるケーブル全体を1つのセンサーとして利用していたため、空間分解能や感度に限界があった。Marraらは、ケーブルやレーザー内を移動するあいだに光信号を増幅する中継器を利用し、1本のケーブルを複数の個別セグメントに分割すれば、1本のケーブルが干渉法を用いた環境センサーアレイに転用できることを示した。著者らがこの方法のテストに用いたのは、英国とカナダを結ぶ全長5,860キロメートルの海底光ファイバーケーブルで、このケーブルにはおよそ46キロメートル毎に中継器がある。Marraらはこの方法を用いて、ケーブル沿いで数回の地震と、弱い地震動、海流を検出した。また、同ケーブルの複数のセグメントから得た信号を用いて、遠方で発生した地震の震央地域の特定にも成功した。

この論文にご興味のある記者の方へ:Scienceでは最近、既存の通信ケーブルを地球物理センサーとして用いる同様の方法を提案した論文を数回掲載しました。

2021年2月のScienceのReport(https://www.science.org/doi/full/10.1126/science.abe6648)では、通常の通信トラフィックにおける偏光を利用することによって、全長1万キロメートルの海底光ファイバーケーブルで地震擾乱を検出できることが実証されました。

また、2019年11月のScienceのReport(https://www.science.org/doi/10.1126/science.aay5881)では、未使用状態の光ファイバーケーブル「ダークファイバー」を用いた分散型音響センシング(DAS)によって、海洋と海底のダイナミクスを監視できることが実証されました。


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