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乳児のマイクロバイオームの発達は生活様式によって異なる

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

先進国と発展途上国の集団から得た乳児の腸内細菌叢構成のメタゲノム比較により、生活様式に依存した強固で系統的な相違があることが明らかになった。著者らによれば、乳児のマイクロバイオームの組成と機能に集団特異的な差があることは、裕福な先進国以外の国の人のマイクロバイオームを検討することの重要性を強調している。出生直後から、ヒトの腸内マイクロバイオームは複雑な構築過程を経る。最終的な成人マイクロバイオームの組成は、その種が生後早期に獲得したものによって決まる可能性があると考えられている。先進国に住む乳児は、このプロセスがよく特性評価されており、先進国の生活様式で生活している成人の特徴である多様性の低い腸内マイクロバイオームに至る、一連のステップをたどる傾向がある。しかし、 発展途上国の生活様式で生活している成人は、特徴的な多様なマイクロバイオームの構成を持つことが多い。乳児マイクロバイオームの構成は先進国の乳児ではよく検討されているが、発展途上国の乳児におけるこのプロセスについてはほとんどわかっておらず、それがどのように成人マイクロバイオームの構成の顕著な差に寄与するのかもわかっていない。発展途上国の乳児のマイクロバイオームの構成に生活様式がどのように影響を与えるのかをよく理解するため、Matthew Olmらは、タンザニアに住む現代の狩猟採集民であるHadza族の乳児の便検体について、詳細なメタゲノム配列決定を行った。Olmらは、これらのデータを18集団から得た健康な乳児の便サンプルのrRNA配列の包括的データセットと比較することで、生後6ヵ月後以降に、対照的な環境に住んでいる乳児のマイクロバイオームが、同様なビフィズス菌優位の集団から分岐することを明らかにした。この分岐後、Hadza族のサンプルに検出される細菌種の大部分(20%超)は新規であり、そのほとんどは先進国の生活様式で生活している小児のサンプルには検出されなかった。この知見によれば、腸内細菌叢の多様性の顕著な差異は、発展途上国集団では生後初期に出現し、母親からの伝播に帰することができ、地域環境からある程度の影響を受ける。しかし、腸内細菌叢の差をもたらす主な要因は、包括的に地理的要因ではなく生活様式に起因すると考えられる。「われわれの結果は、腸内マイクロバイオームの発達過程における生活様式特異的な差異によって、慢性炎症による疾患などの先進国でよくみられる疾患にかかりやすくなるのかどうかという疑問も強調している」とOlmらは述べている。


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