News Release

新規バイオファブリケーション法により心筋のらせん状組織構造の重要性が明らかに

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

集中型回転ジェットスピニング(focused rotary jet spinning:FRJS)と呼ばれる新しいタイプの積層造形法を用いることで、研究者らは三次元のらせん状構造から成るヒト心筋組織のバイオハイブリッドモデルの作製に成功した。この結果は、心筋のらせん構造がいかに心機能に寄与しているのかに関する新たな洞察をもたらすだけでなく、三次元の複雑な幾何学形態を有する組織や器官を作成するための効率的な方法に関する概念実証も提供している。心臓のポンプ機能は、心室を包み込むらせん状線維構造を成す心筋細胞による。心拍毎に、この構造が協働して収縮とねじりの運動を引き起こす。心臓の効率的なポンプ機能におけるねじりの重要性は古くから推測されていたが、心筋のらせん状構造がその機能にどう関係しているのかについては評価が困難であった。その上、心室のねじり運動に変化をもたらす構造異常は、これまでに心不全と関連付けられてきた。こうした理由で、心筋組織のらせん状構造の理解と再現は極めて重要である。今回Huibin Changらは、遠心ジェットスピニングを用いた積層造形法であるFRJSにより、長く細い線維を複雑な三次元構造へと迅速に形成・積層させたことを報告した。こうした線維は直接的な組織形成に用いられるため、従来のバイオファブリケーション技術では不可能と思われる組織の解剖学的構造の再現がFRJSにより可能になる。Changらは、実際のヒト心臓と同様の構造特性を有する心室を作製した。彼らはまた、線維の方向に異常を有する、疾患心臓のバイオファブリケーションモデルの作製にも成功した。この足場をヒト心筋に植え込んだところ、そのらせん状構造により心機能が向上することが示された。関連するPerspectiveで、Michael SeftonとCraig Smithはこれらの結果について、再生医療というより大きな背景の中で論じ、こう記している。「心臓は単なるポンプではない。しかし、Chanらは生体力学的に同等の機能構造を作り出すことへ向けた一歩を踏み出した。」


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