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改革によってジェンダーに基づく暴力への警察の対応が改善:インドでの事例研究

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

インドで行われた大規模な警察改革調査で、女性専用ヘルプデスクが設置されている警察署の警察官は女性に対する暴力事例を正式に記録する傾向が強いことが示された。この結果は、特に家父長制社会において、警察官の間でジェンダーに基づく犯罪事例に対する注意をどうすれば向上できるかの手掛かりとなる。女性に対する暴力は世界的な問題で、ジェンダーに基づく暴力(GBV)の事例に対する警察の不適切な対応が女性への暴力がなかなか減らない大きな要因となっている。警察に被害を届け出られることがGBV問題対応における極めて重要なステップで、女性を暴力から守る上での基本である。しかし、警察への信頼の欠如やGBVにまつわる社会的スティグマから、被害を届け出ない場合がある。この事と女性の懸念に対して警察の対応が概ね的確ではないことが、犯罪の発生率と正式な対処率の間の大きなずれにつながる。その結果、この問題の深刻化に歯止めをかける一助にしようと、ジェンダーを対象とした警察改革がしばしば提案されている。Sandip Sukhtankarらは今回、今日までの警察改革措置についての最大の無作為化対照試験(2,340万人に奉仕する180の警察署)の結果を提示している。焦点となったのはインドのマドヤ・パラデシュで、この地域は家父長制が深く根差し、女性への暴力もまん延していると言われている。Sukhtankarらは試験で女性のためのヘルプデスク(WHD)の効果を評価した。WHDとは女性に被害を届け出でもらうために地域警察署に設けられた専用スペースで、訓練を受けた警察官が配置されている。Sukhtankarらによると、結果は一様ではなかったという。WHDのある警察署、特に女性警察官が配置されている警察署では、警察官がGBV事例を正式に記録する傾向が強かった。だからといって女性が被害を届け出る傾向が強いわけではなく、ジェンダーに基づく犯罪の逮捕率にも影響はほぼなかった。そうは言うものの、今回の研究結果によって、警察署内に男性と女性の警察官がいることで女性に対する暴力事例が注目され、GBVに対する警察の対応が改善することは示された。関係するPerspectiveではGraeme BlairとNirvikar Jassalがこの研究の結果についてさらに詳しく論じている。

 

こういった動向に関心のある報道関係者の皆様へ。2021年11月のScienceに掲載されたGraeme Blairらの研究をご参照ください。Blairらはグローバル・サウスの6ヵ国での地域警察改革を評価し、改革によって市民と警察の間の信頼関係は改善することはなく、犯罪も減少しなかったことを明らかにしています。イリノイ州シカゴの大規模なデータセットを活用した2021年2月の研究では、広く提案されたもう1つの警察改革「警察活動の多様化」についての見解を掲載しています。2021年10月のSciencespecial issue、「Criminal Injustice」では、関係するテーマをさらに深く検討しています。


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