News Release

心筋症を詳細に検討することで、心不全がどのようにして生じるのかに関する新たな見解を獲得

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

心筋症患者と心疾患でない対照者から採取した心臓検体を研究することで、世界で2300万人が罹患する極めて致死的な疾患であるヒトの心不全の細胞・分子生物学に関する新たな見識が得られた。これらの結果は、単一核RNA配列決定(snRNAseq)解析と呼ばれる技術を利用しており、「心不全が共通の最終経路に起因するという一般的な定説を覆すものであり、個別化医療を強化する選択的標的を用いた治療法の将来的な開発の指針となり得る」とこの研究の著者らは述べている。心筋症は、心筋に影響を及ぼし、心臓が効果的に血液を送り出しにくいようにする一連の疾患である。これらの重篤な疾患は心不全の主因であり、心臓移植の主要な適応症である。拡張型心筋症(DCM)や不整脈原性心筋症(ACM)などの一部の心筋症は、心臓生物学において多様な機能をもつタンパク質をコードする遺伝子の変異に起因することがある。しかし、DCMおよびACMに関連する遺伝子の病原性バリアントが、どのようにして高い心不全発症リスクをもたらすのかは不明である。さまざまな刺激が共通の最終経路に収束して心不全を引き起こすという考え方が主流であるが、新しい技術により、遺伝子型が疾患の経路に影響を及ぼすかどうかを評価する直接的な機会が得られた。Daniel Reichartらは、遺伝性および特発性(変異がない)のDCMおよびACMの患者と、構造的心疾患のない人の心臓組織検体のsnRNAseqを行った。解析で得られた880,000個のトランスクリプトームを機械学習を用いて探索することにより、Reichartらは、心不全に至る経路に関与している別個の細胞タイプおよび心臓におけるその位置、ならびに遺伝子型に関連した経路、細胞間相互作用、およびこれらの疾患における異なる遺伝子発現を、単一細胞での分解能で特定できた。「このネットワークは、各心臓検体の遺伝子型を非常に高度に予測し、遺伝子型が非常に特異的な心不全経路を活性化させるというわれわれの結論を裏付けている。これらのデータセットの調査は、発見のチャンスを継続的に提供するが、今回の知見は、遺伝子型が心臓の病理学的リモデリングに影響を及ぼすことを示す実質的なエビデンスを示している」とReichartらは述べている。


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