News Release

結晶の誕生・成長における液体構造の重要性を発見

Peer-Reviewed Publication

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

image: Molecular dynamics simulations of a supercooled nickel–aluminum alloy reveal that crystal-like preordering and interfacial tension are important in crystal nucleation and growth, highlighting a critical gap in classical nucleation theory view more 

Credit: Hajime Tanaka from University of Tokyo

水が氷になるなど、液体の結晶化は日常でよく目にする現象です。近年、液体を融点以下の温度の過冷却液体状態にすると、結晶の構造と同じような対称性を持つ「結晶前駆体」構造が形成されたり消えたりして、それが引き金となって結晶核が形成され、その後結晶核を中心に結晶が成長していくことが示されてきました。

田中 肇 東京大学名誉教授(先端科学技術研究センター シニアプログラムアドバイザー)と東京大学 生産技術研究所のフー ユアンチャオ 外国人特別研究員(研究当時)の研究グループは、液体の結晶化について分子動力学シミュレーションに新たな工夫をして、結晶前駆体が結晶核形成および結晶成長に与える影響について調べました。具体的には、液体中に自発的に形成される結晶前駆体を周期的に消滅させる新たな手法を開発し、この手法を用いて結晶前駆体の量を制御し、結晶化への影響を系統的に調べました。その結果、過冷却液体中の結晶前駆体構造を減少させると、結晶核形成が大幅に抑制されるばかりでなく、結晶成長も劇的に遅くなることを見出しました。また、結晶成長過程において、結晶・液体界面に形成される結晶前駆体の存在が鍵を握っていることが明らかになりました。このことは、従来の理論でその重要性が認識されていなかった液体・結晶界面エネルギーが結晶核形成のみならず、結晶成長においても重要であることを示しています。

この成果は、あらゆる物質の結晶核形成と結晶成長の基礎的な理解に貢献するだけでなく、半導体産業におけるシリコンの結晶化の制御など応用面にも大きく貢献するものと期待されます。

本研究成果は、2022年8月4日(英国夏時間)に「Nature Communications」に掲載されました。
 


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