News Release

多様性と相互作用によって微生物群のダイナミクスを予測する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、微小な微生物生態系を観察した結果、多様性が高くて相互作用が強い複雑な生態群集ほど、時間とともに安定性が低下し、特異な動的相間の転移を起こす傾向があることが示されたという。この研究成果は、生態学の一般原則に見識をもたらすとともに、生態群集では多様性とダイナミクスの間に予測可能なパターンがあることを実証するものである。人間個人のマイクロバイオームから地球の熱帯雨林まで、どんな形態や規模の生態群集にも、たいていは数多くの種が共存し、一緒になって重要な機能を担っている。しかし、そうした群集は複雑で、そのダイナミクスを予測するのは難しいため、大規模な生態系内のつながりを研究するのは通常不可能である。その結果、群集の多様性によってその安定性は強まるのか、それとも弱めるのかなど、生態系機能の重要な側面はほとんど解明されていない。数理モデルと高度に管理された細菌群集の観察に基づいて、Jiliang Huらは、群集の挙動に影響を与える多様性や相互作用など、単純な群集レベルの特徴を予測する生態理論を直接検証した。Huらは、細菌の生態群集は複雑なほど時間とともに安定性が低くなり、予想どおり、初期の多様性や種間の相互作用の強さの違いによって、異なる変化をすることを見出した。著者らは、群集は多様性や相互作用が増すにつれて、すべての種が共存する安定した平衡状態から、部分的な共存へ、そして種の豊富さが持続的かつ動的に変動する状態へと、特異な相間の転移を起こすことを実証した。この研究成果によると、変動する群集は種の豊かさが高く維持される傾向があることから、多様性と安定性が相互に補強し合っていることが示唆されるという。関連するPerspectiveでは、Matthias HuelsmannとMartin Ackermannが、「Huらの研究成果をまとめると、生態群集は、種間の相互作用の強さや多様性が変化するにつれて、特異な相間の転移を起こすことを示唆している。これはちょうど、温度や圧力が変化すると、物質が特異な状態へ突然転移するのと似ている」と述べている。


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