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非運動性繊毛が初期発生時の左右非対称性の発端となる

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

胚発生時、小さな非運動性繊毛が細胞外液の方向を感知して初期胚形成における左右対称性を破ることが、マウス胚とゼブラフィッシュでそれぞれこの機構を検討した独立した2つの研究で報告された。多くの脊椎動物の体は外観上対称に見えるが、内部の臓器の形と構成には多くの左右非対称性が認められる。これらの非対称的な差異は、左右オーガナイザー(LRO)と呼ばれる小さな細胞クラスターにより初期胚形成時に確立される。胚形成の特定の時点で、このクラスター内の運動性繊毛が一斉に動き、細胞外液の左向きの流れを作り出す。これが初期発生時の左右対称性を破壊する最初のサインである。しかし、この左向きの流れがどのように感知され、左右非対称発生プログラムを誘発するシグナルに変換されるのかは不明である。Takanobu KatohらとLydia Djenouneらは、それぞれ独立した2つの研究で、LROの非運動性繊毛が機械センサーとして作用して、流れる液体の生体力学的刺激を、左右非対称性を指示するカルシウムシグナルに変換することを明らかにした。Katohらはマウス胚で、LROの非運動性繊毛が細胞外の流れの力に反応して背腹軸に沿って変形することを発見した。これにより流れの向きを伝えるカルシウムシグナルが発生する。これとは別にDejenouneらは、ゼブラフィッシュを用いた研究で、心臓の左右非対称性の形成における同様のプロセスを発見した。この知見によれば、正常な流れが停止した場合に繊毛を機械的に操作すれば、心臓の左右パターン形成を救済でき、逆にすることさえもできる。これらの知見は、この機構が進化的に保存されており、発生時の左右対称性の破壊に重要な役割を果たしていることを示唆している。


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