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隕石中に見つかった揮発性元素に関する2つの研究によって地球の組成が制約された

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

2つの研究によって、隕石に含まれていた揮発性元素のカリウム(K)と亜鉛(Zn)に核合成同位体異常が確認され、地球を形成した物質の起源が制約された。両研究によると、地球の質量の約90%は内太陽系の非炭素質(NC)物質から、約10%は外太陽系の炭素質コンドライト(CC)物質からもたらされたという。CCリザーバーからは、地球にあるKの約20%とZnの半分が供給された。これらを総合すると、太陽系を形成した高温の原始太陽系星雲において、揮発性成分は均一に分布していなかったことになる。

核合成異常とは、元素が形成されるときに生じた、元素の同位体比のわずかな違いである。太陽系の形成時に、こうした核合成異常を有する元素が気相から凝縮して固相の塵になり、それが隕石や、地球をはじめとする地球型惑星に取り込まれた。さまざまな核合成異常が、原始太陽系のさまざまな場所にある物質に受け継がれていった。地球を形成している物質の起源は、隕石の核合成異常を測定することで制約できる。しかし、低温で凝縮する揮発性元素の核合成異常は測定が難しいため、その起源は十分に制約されていなかった。

Nicole NieとDa Wangらは、32個の隕石について3種類のK同位体(39K,40K,41K)を測定した。その結果、同位体40Kに核合成異常を発見した。この異常は、NC隕石よりもCC隕石のほうが大きく、多様でもあった。また、地球の岩石における40Kの核合成異常比がNC隕石のそれとよく一致していたことから、地球のKの大部分はNC隕石によってもたらされたものであり、CC隕石によってもたらされたKは20%に満たないことが示唆された。

もうひとつの研究では、Rayssa MartinsとSven Kuthningらが、別の揮発性元素であるZnに注目した。著者らは、18個の隕石に含まれるZnについて5種類の安定同位体を分析した。その結果、CC隕石とNC隕石とでは、Zn同位体の核合成異常に違いがあることが明らかになった。地球のZn同位体特性と比較すると、MartinsとKuthningらの分析結果は複数の元素源が混在していることを示唆している。著者らの計算によると、地球の全質量の約10%がCC隕石に由来し、地球のZnの50%がCC隕石に由来するという。この結果は、外太陽系のCC隕石物質が、これ以外の地球の揮発性元素にも大きく寄与している可能性を示すものである。

「我々の研究は、さまざまな方法で互いの結果を補足し、裏付けるものである」と、Nieは両研究グループによる添付の質問票に書いており、両研究の結果とその意味について論じている。「中程度揮発性元素のうち、Kは最も揮発性が低く、Znは最も揮発性の高い元素のひとつである。したがって、我々の研究から、幅広い揮発性元素が核合成異常を保持していることが予測される。」


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