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森林火災の煙と天候との相互作用が火災の激しさと大気汚染を増大させる

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、森林火災の煙がその地域の天候に影響を及ぼすことによって、森林火災は急速に広がり、地域規模の大気汚染が加速するという。この研究結果から、「予想外に強い」火災‐天候フィードバックが、火災の起こりやすい多様な地域で共通して見られることが明らかになった。これは森林火災を緩和する戦略の参考になりうるものである。過去数十年にわたり、森林火災の頻度と激しさは世界的に見て増大している。森林火災の多くの側面は、その地域の天候パターンによって決まる。しかし、森林火災と気象の関係を調べたこれまでの研究は、短期の天候変化よりも長期の気候スケールに注目したものが大半だった。そのうえ、気象に影響を及ぼしうる火災関連の要素(火災の煙に由来するブラックカーボンなど)には、比較的注意が払われてこなかった。こうした要素間の相互作用や短期スケールの天候が火災に及ぼす影響について理解を深めるために、Xin Huanらは気象‐化学結合モデルと人工衛星、地上観測によるデータセットを用いて、米国西海岸および東南アジア(人口密度が高く、火災が起こりやすい2地域)を調査した。その結果、湿度や風速、降水量といった重要な気象要素の短期変動が、両地域で激しい森林火災を引き起こす要因であることがわかった。個々の火災で煙として放出されたブラックカーボン・エアロゾルの放射効果によって、その地域の気象は大幅に変化し、森林火災は大気質にさらに悪い影響を及ぼすようになる。両地域の激しい火災には、別の気象要因(米国西海岸では乾燥と風速、東南アジアでは降水量)も影響しているようだが、フィードバック機構は共通している。どちらも火災の煙による放射効果によって引き起こされているのである。著者らは、「森林火災と火災‐天候フィードバックが持続し、広がっているとすれば、増大が確認されている地域において、ほぼリアルタイムの予測に基づいて初期段階で火災を鎮静することによって、激しい森林火災を防ぐことができるだろう」と述べている。


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