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「中密度」という新しい状態のアモルファス氷、発見。ボールミリングで作る

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

研究者らの報告によると、「普通の」氷を低温でボールミリングする ―― 氷とステンレス鋼のボールを入れた容器を極低温に冷やして激しく振る ―― と、これまで知られていなかった液体の水に近い密度のアモルファス状態になるという。この研究結果は水が低温ではこれまで知れていた以上に複雑であることを示しており、このことは、水とその興味深く説明のつかない特異な状態についての私たちの知識だけでなく、宇宙のあちらこちらで水が存在し、機能する仕組みについての知識に対しても示唆を与えてくれる。凍った水には多数の形態がある。水氷には20の一般的な状態、すなわち結晶相があることがわかっており、アモルファス氷には少なくとも2種類がある。分子が六方格子状に規則的に並ぶ一般的な氷とは異なり、アモルファス氷は高度に秩序だった結晶構造を持たない。地球上の凍結した水の大半は結晶質の氷として存在しているが、宇宙全体ではアモルファス氷がおそらく最も一般的な水の構造である。アモルファス氷は通常、密度で区別する。低密度アモルファス氷は密度が0.94 g/cm3のもの、高密度アモルファス氷は密度が1.13 g/cm3以上のものを言う。しかし、結晶質の氷もアモルファス氷も密度は液体の水の密度(~ 1 g/cm3)に近い密度ではない。この密度差が水についての私たちの現在の知識の基本となっている。Alexander Rosu-Finsenらは今回、普通の氷を約 ―― 200℃(77K)でボールミリングすると密度が1.06 ± 0.06 g/cm3の「中密度」アモルファス氷(MDA)になることを示した。ボールミリングは金属合金や無機化合物といった他のアモルファス状物質を作る際に使われてきた操作で、これまで氷への適用はなかった。Rosu-Finsenらは様々な実験手法や計算機シミュレーションを使って、氷のこの新しい状態を評価して特徴を明らかにし、その特異的な構造と特有の力学的性質を解明した。彼らによると、この研究結果からMDAの構造的特質に対する興味深い新たな疑問、液体の水の真のガラス状態がMDAなのかどうかなど、が生じると言う。


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