概日遺伝子発現は性別と年齢によって異なる

ヒトの遺伝子発現の日周リズムは性別および年齢によって異なることが、遺伝子型-組織発現（GTEx）プロジェクトの900を超えるヒトトランスクリプトームを用いた新しい研究で示された。この知見は、これまで知られていなかった概日遺伝子発現の性別および年齢特異的な差異の多様性を明らかにしており、男女ならびに加齢時におけるいくつかの疾患の発症率の差異を説明するために役立つと考えられる。概日時計はヒトの生理機能を調節し、ヒトの生物学的性質の多くの側面を日々の環境および社会的手がかりと同期させている。しかし、遺伝子発現の周期的な日内変動は、ヒトでは十分に理解されておらず、年齢と性別とどのように関連しているかについては特にわかっていない。ヒトの性的二形性と分子的概日リズムの相互作用についてより深く理解するために、Lorenzo Talamancaらは、ヒトドナー914人から得たRNAシーケンスデータと組織内の時間マーカーを用いたアルゴリズムを組み合わせて、概日相を示す各個人のトランスクリプトームを検出しタイムスタンプを付けた。このアプローチにより、46のヒト組織における24時間の遺伝子発現リズムを観察することができた。Talamancaらは、体内時計は体組織全体でよく同期しており、遺伝子発現におけるゲノムワイドな24時間リズムは主に朝と夕方の波として生じることを明らかにした。代謝組織は最も強い周期性を示し、脳組織は周期性が最も弱かった。この時計構造はすべての性別および年齢群で保存されていたが、全体的な遺伝子発現リズムは非常に性二形性であり、女性の方がよく維持されていることが明らかになった。周期性を示す遺伝子の数は女性では男性に比べてほぼ2倍多く、特に副腎と肝臓で顕著であった。さらに、Talamancaらは、一般に高齢者では周期性が弱く、特に冠動脈の心血管疾患に関連したプログラムでは弱いことを明らかにした。