News Release

球状に絡み合ったワームが、もつれた繊維状物質のトポロジーに光明を投じる

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

カリフォルニア・ブラックワームが乱雑に絡み合ってできた塊がすばやくほどける様子についての研究から、絡み合ったアクティブマターのトポロジーの基礎となるメカニズム及び原理についての新たな知見が得られた、と研究者らが報告している。この知見は、ユニークで調整可能なトポロジカル物性を持つ多機能性アクティブマテリアルの設計に役立つ可能性がある。長い繊維状の物質や物体 ―― 長いポリマー鎖から緩くまとめられた充電ケーブルに至るまで ―― は、すぐに複雑にもつれてしまい、ほどくのは不可能にも思える非常に乱雑に絡み合った構造を作る。ところが生物種のなかには、カリフォルニア・ブラックワーム(Lumbriculus variegatus)のように、比較的単純な筋肉と神経しか持たないにもかかわらず、非常に効率的に自分らの体を絡ませ合ったりほどいたりする方法を進化させてきたものがいる。これらのワームは普段から自己組織化して5~50,000匹のワームが複雑に絡み合った球状の塊を作る。こうした絡まり構造は数分間かけて形成されるが、ミリ秒単位の速さで完全にほどけることができる。これらのワームが強く絡み合いながらも超高速でほどけることができる仕組みは、依然としてよく分かっていないものの、その能力から得られた見識は次世代のスマートマテリアルまたはアクティブマテリアルの設計に有用な情報をもたらす可能性がある、と著者らは述べている。これらの生物が強く絡み合いながらも超高速でほどける仕組みについての理解を深めるために、Vishal Patiらは超音波画像法を用いてブラックワームが絡み合った塊の3次元再構成を作成し、このデータと理論的解析およびシミュレーションを組み合わせて、ブラックワームが絡み合った塊の機構モデルを構築した。Patilらは、この絡み合った塊はほとんどのワームが他のほとんどのワームと接触している高度な相互作用システムであることを見出した。個々のワームの動きが作り出す共鳴し調整の取れた、らせん波が、絡み合った集合体の形成と迅速にほどける仕組みを可能にしていた。著者らによると、この知見は繊維状物質を迅速にほどく際の基礎をなす一般的なダイナミクスの原理を明らかにするものであり、密に絡み合った繊維状物質から成る他のシステムに適応できる可能性がある。関連するPerspectiveではEleni Panagiotouが、「トポロジー、応用数学、エンジニアリングの手法を組み合わせることで、著者らはアクティブに絡み合いほどける機構の一般モデルを導き出した。これはアクティブマターの機構についての新たな見識を与えるものである」と述べている。


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