News Release

キャンプ・センチュリーの堆積物から、40万年前のグリーンランド北西部は氷に覆われていなかったことが判明

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

軍事基地「キャンプ・センチュリー」の氷床コアから堆積物が見つかり、地球を覆う氷の体積が最小だった時代の1つ「海洋酸素同位体ステージ(MIS)11」間氷期に、グリーンランド北西部は氷に覆われていなかったことが示された。その場所に氷が存在しなかったということは、その間氷期にグリーンランド氷床の融解によって、世界海面水位が1.4メートル上昇したことになる。人為的な気候温暖化が今後進めば、我々はこの時代と同程度の世界平均気温を間もなく経験することになるだろう。過去の間氷期(地球の気候史において、地球全体の気温が上昇し、氷に覆われた面積が減少した期間)における気候条件が分かれば、地球の雪氷圏が温暖化に対して今後どのように反応し、海面水位の上昇に関与するかをより深く理解することができる。しかし、間氷期に氷に覆われていなかったことが明白な地域から、年代の明らかな堆積記録が得られることは稀であり、現在は氷に覆われているせいで入手も難しい。注目すべき例外の1つが、グリーンランド北西部のキャンプ・センチュリーで掘削された氷床コアである。このコアには氷河下で凍った珍しい堆積物が含まれていた。これは、更新世のある時期、この地域が氷に覆われていなかったことを示唆している。Andrew Christらが、ルミネッセンス年代測定と宇宙生成核種データを用いて堆積物を分析したところ、その堆積物はMIS11間氷期(約41万6000年前)に、氷に覆われていないツンドラ環境で流水によって堆積したものであり、初めて地表で太陽光にさらされてから1万6000年未満であることが明らかになった。次に、MIS11におけるグリーンランドの退氷をより深く理解するため、Christらは氷床モデル群を使用した。すると、キャンプ・センチュリーの存在する場所は氷に覆われていなかったという結果が出た。この氷床融解によって、間氷期の世界平均海面水位は少なくとも1.4メートル上昇したと考えられる。これは現在より6〜13メートル高い水位である。「もし、2万9000年間続いたMIS11の温暖な気候によって、グリーンランドの氷が大幅に減少したとすれば、現在北極圏でみられる急速かつ長期かつ著しい人為的温暖化によっても、今後数世紀にわたり(グリーンランド氷床)が融解し、海面水位が上昇し、さらなる気候フィードバックが引き起こされるだろう」と、Christらは述べている。


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