News Release

遠海魚の方が底生魚より人間による圧力や保護の影響が大きい

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

遠海魚 ―― 海底付近でも海岸付近でもなく、外洋の水柱に生息する種 ―― は、海底に生息する底生種よりも人間からの圧力と保護の影響が大きいと、研究者らは報告している。この研究結果によって、遠く離れた遠洋地域での海洋保護を強化する必要性が強調された。体サイズは、海洋生態系における一連の生態学的過程に影響を及ぼす普遍的な生物学的特性である。体サイズ構造の変動の測定は、乱獲の影響や漁業規則と海洋保全政策の成果を理解し、予測するための有益な枠組みになる。しかし、海洋生物種に関するデータの大半は漁業ベースの活動から得られたものであるため、海洋生息地と海洋保護区(MPA)全域でのそういった評価は特に難しい。加えて、遠海(海中の中層部)系と底生(海底)系で使用されている調査方法が異なり、それゆえに系間の比較も難しい。これに対処するために、Tom Letessierらは、大西洋、インド洋、太平洋の全域にステレオベイト遠隔水中ビデオステーション(BRUVS)を17,000以上配置し、海に生息する遠海魚と底生魚について、体サイズ及び個体数に基づく地球規模の評価を行った。遠隔操作観察システムのおかげで、事実上あらゆる海洋生息地若しくは地域において、魚の体サイズと個体数についての漁業に依存しない標準化データを収集することができた。合わせると、そのデータは、動物性プランクトン級から大型海洋捕食種級まで体サイズが6桁にも及ぶ遠海魚と底生魚の820,000を超える観察を網羅していた。Letessierらは、魚の体サイズと個体数が生息地系、人間活動、MPAとどのように関連しているかを評価した。その結果、サイズ構造は底生魚より遠海魚の方が人間による圧力に強く影響されることを発見した。しかし、遠海魚はMPAの保護による影響もより強かった。底生種のサイズ構造はMPAと市場近辺の双方で効果的に保護できると考えられるが、最も絶滅の危機に瀕している世界最大の遠海魚は遠洋での保護の強化のみが効果的な保護になることを、今回の研究結果は示唆している。


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.