News Release

大規模解析を用いた流れと音の解明

オリフィス板を持つ拡大管内での流れ場・音場に関する共同研究

Peer-Reviewed Publication

Toyohashi University of Technology (TUT)

image: 

Spiral vortices in expanding pipe (left) and generated acoustic field (right)

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<概要>

豊橋技術科学大学 機械工学系 横山博史教授と株式会社神戸製鋼所 技術開発本部との共同研究において、本学で開発されてきた空力音響解析手法を用い、圧縮機など流体機械の低騒音化のため用いられるサイレンサーの1つである複数のオリフィス板(小孔の空いた板)を有する拡大管内の様々な渦構造を含む流れ場や、その結果発生する音場を世界で初めて明らかにしました。

 

<詳細>

圧縮機などの流体機械からは周期的に圧力変動が発生し、この圧力変動を低減するサイレンサーの1つとして、複数枚のオリフィス板を有する拡大管が利用されます。こうしたサイレンサーでは、流れが通過する際の発生音を抑制する必要があり、そうした音の発生機構の解明が必要とされていました。また学術的にも、拡大管のみ、オリフィス板周りの流れ場についても研究が行われていましたが、これらを組み合わせた本モデルのような複雑な形状の周りの流れについては、研究が行われていませんでした。

豊橋技術科学大学 機械工学系 横山博史教授の研究グループでは、これまで開発してきた複雑な形状の周りの流れや音場も分析可能な数値解析手法を用い、株式会社神戸製鋼所 技術開発本部と共同で、複数のオリフィス板を有する拡大管周りの流れ場と音場を調査しました。各条件の解析には2万個程度のCPUを用い、40日程度を必要とし、大規模かつ長時間の解析を行いました。

解析の結果、図1に示すように拡大管内には渦構造が発生し、これらがオリフィス板や拡大管下流側端部に衝突することで強い音が発生することが明らかになりました。さらに、主流速度やオリフィス径といった条件によって、渦の形状がらせん型の渦、ドーナツ型の渦輪、アーチ型の渦など変化し、主要な発生音の周波数や管内の分布も変化することがわかりました。これらの成果はPhysics of Fluids (2024年3月公開) に掲載されました。

 

<今後の展望>

本研究で得られた知見を用い、低騒音負荷な流体機器を含むシステムの実現を目指し、研究を進めていく予定です。解析手法の開発という観点では、あわせて風洞実験も実施しており、モデルの大きさや形状など広い条件で、精度を検証していく必要があると考えています。また、らせん型の渦など様々な形状の渦構造の発生が明らかになり、音場との関係が解明されたものの、そのような渦が形成される根本的な理由が完全に明らかになった訳ではなく、今後の課題と考えられます。

 

<論文情報>

論文タイトル:Fluid–acoustic interactions around an expanding pipe with orifice plates

(オリフィス板を有する拡大管周りでの流体と音の相互作用)

著者:Akitomo FUKUMA (福間章友), Manato KAWAI (川合央人), Nini FURUKAWA (古川新日), Kenji KAWASAKI (川﨑賢二), Ichiro YAMAGIWA (山極伊知郎), Masahito NISHIKAWARA (西川原理仁), Hiroshi YOKOYAMA (横山博史)

雑誌名:Physics of Fluids, 36 (3), 036116

https://doi.org/10.1063/5.0193029


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