経度をまたぐ急速な移動は、野生の海鳥に一種の「時差ぼけ」を引き起こす。それによって海鳥は、太陽を利用してナビゲートする際に、ナビゲーションのための別の手掛かりを利用できる場合でさえ、進路を逸れてしまう可能性がある。動物はナビゲートの際、地球の磁場、星、太陽といった方位の手掛かりを頼りに方向を維持している。信頼できる道標として太陽を使用するには、海鳥は、主に日々の明暗サイクルによって調整される体内時計を使って、空を横切る太陽の動きを補正しなければならない。経線を超えて東や西に移動する場合には、動物の体内時計が現在地の太陽時とずれてしまい、ナビゲーションに予測可能な誤りが生じる可能性がある。例えば、東への移動では意図した方向から時計回りに、西への移動では反時計回りに進路がずれることが予想される。これらの予想は、一部の北極圏の渡り鳥についての研究で裏付けられてはいるものの、そういった進路のずれが体内時計のずれによって生じたものであることを確認するには、ナビゲーションの誤りの他の原因、特に地球の磁場の変化などを排除する必要がある。
Patrick Lewinらは今回、野生のマンクスミズナギドリ(Puffinus puffinus)1,045羽のGPS追跡データを分析し、経度をまたぐ東や西への急速な移動が鳥の体内時計を直接混乱させ、太陽コンパスによるナビゲーションに誤りを引き起こすかどうかを調査した。これらの鳥は日常的に、北東大西洋の採餌場と英国の繁殖地の間を1,000キロ以上移動している。Lewinらは、東や西への急速な移動によって鳥の体内時計と現在地の太陽時の調整が混乱した際に、ナビゲーションが予想どおり狂うことを発見した。方向のずれは太陽コンパスの誤差から予想されるものと非常によく一致しており、このことは、陸地が見えない場合に鳥は太陽に大きく依存してナビゲートしていることを示唆している。これらのパターンは、地球の磁場の変化による誤差よりも太陽コンパスの誤差との方がより一致していた。驚くべきことに、ミズナギドリは、海岸線に沿って進むなどのナビゲーションの別の手掛かりが利用可能な場合でさえ、太陽コンパスを使い続けていた。
Journal
Science
Article Title
Rapid longitudinal flights cause time shifts and sun compass error
Article Publication Date
29-Oct-2026