News Release

海鳥の繁栄状況で海の健康の非対称性が明らかに

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

研究者らは、気候変動に対する海洋生態系の応答を半球ごとに独自に評価した研究で、水面で採餌活動を行う北半球の魚食性鳥類は南半球の同様の鳥類に比べて、この半世紀、繁殖生産性に対して大きなストレスを受けてきたと報告している。この研究結果は、半球規模での海洋管理が必要であることを示唆するとともに、海鳥は世界的な海の変化の見張り番として重要な役割を果たしていると説明し、海鳥 ―― 一部はすでに危機に瀕している ―― の長期的な監視プログラムが重要であることも強調している。海の変化を世界的に把握する際、これまでは、人間と気候の作用に対する北半球と南半球の海洋生態系応答の相違、すなわち非対称性については明確な検討がなされていなかった。他とは異なる分類群固有の応答を観察することから知識の大半を得ており、こういったやり方が広大な海洋生態系を評価、比較する妨げになっていたのである。William Sydemanらはこうった規模の問題に対処すべく、全世界の海鳥66種を対象に1964~2018年の繁殖生産性の記録をまとめ、北半球と南半球の海鳥種の間には異なるパターンがあることを突き止めた。Sydemanらによると、総合的に、北半球の海鳥 ―― 特に食魚性の種 ―― はストレスの形跡が大きく、繁殖成功率も徐々に低下しており、一方で、南半球の種は繁殖の成功に対する影響は小さかったという。彼らは、こういったパターンは北半球の魚資源の減少に起因するとし、魚の個体数は南半球より北半球の方が人間と気候の作用の影響が大きいことを示唆している。これらのパターンから、北半球の海では活発な回復、南半球の海では保護の強化といった北半球と南半球で異なる海洋管理方法が必要であることが示されたと、Sydemanらは書いている。「比較的簡単な調整と地球規模の監視プログラムのデータ共有を行い、海鳥の繁殖生産性によって示される事を簡単に活用することで、世界的な海洋生態系の変化を年1回のペースで評価できるだろう」と彼らは書いている。

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