News Release

「ソーシャルディスタンシング」、感染症に対する自然による自然な反応

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

COVID-19の対策として「ソーシャルディスタンシング」を用いることは、我々の現在の日常生活において極めてありふれたものになっている一方、相互関係を制限して感染症の拡散を遅延させるための社会的行動の変容は、動物界を通じて一般的にみられるものである。ヒト以外の多くの動物も、昆虫から鳥類に至るまで、その社会集団内における疾患の伝播を避けるために、病原体に関連した行動変容を示す。Sebastian Stockmaierらはそのレビューにおいて、感染症に対する動物の反応を様々な動物種について紹介し、罹患しやすい個体、曝露された個体あるいは罹患した個体が示す社会行動の変化が、疾患拡散に対して大きな影響を及ぼすことを示している。COVID-19パンデミックにより、このウイルスの拡散を遅延させるために、世界的に「ソーシャルディスタンシング」が呼びかけられている。しかし、こうした戦略は伝播率を低減することが示されている一方で、政治的には議論があり、一部の者は、不必要であるとか効果がないという根拠のない議論によって、この考え方に抵抗している。Stockmaierらによれば、ソーシャルディスタンシングは、動物界を通じてみられる、疾患に対する自然の反応である。この研究で著者らは、感染症に対応して社会関係を変える6種類の生理学的または行動的な反応に焦点を当てている。これには、罹患個体における疾病行動(免疫に関連する不活発)および自己隔離、ならびに罹患しやすい個体による罹患個体の回避または排除などが含まれる。しかし、全ての反応行動が回避および隔離を目的としているわけではない。ヒトと同様に、一部の動物には罹患した仲間をケアする行動がみられ、感染症に対する曝露を高め、伝播が促進される。著者らによれば、動物界に幅広く認められる疾病による行動変容の多くの例は、その基礎にある疫学的な機序や帰結について研究する貴重な機会となる。そうした対象には、伝染性病原体が社会ネットワークを介してどのように拡散するのか、病原体に対する反応として社会的ネットワークがどのように変化するのか、そしてこうしたフィードバックが宿主‐病原体関係の進化にどのように影響するのか、などが含まれる。「過去および現在のパンデミックにおいて経験された公衆衛生施策は、ソーシャルディスタンシングに対する関心を高め、また疫学研究はその有効性と必要な持続期間について積極的な評価を行っている」と、著者らは記している。「ヒト以外の動物のソーシャルディスタンシング戦略は、実験対象とすることが可能であり、ヒトの場合には不可能な操作的な実験や複数世代にわたる観察ができるようになると思われる。」

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