News Release

微生物の防御機構に関する研究者の知識を拡張する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

微生物がウイルスの脅威に対して自らを防御するために用いている、これまで知られていない幅広い分子機能と酵素活性が、新たな研究により同定された。この結果は、ファージと原核生物宿主との間に存在する適応的なarms raceの理解において新たな地平を開くものであるだけでなく、CRISPR-Casのような分子技術の開発により、例えば遺伝子操作、分子検出および標的を絞った細胞破壊などを可能にする新たなツールをもたらすための情報を提供しうるものである。細菌や古細菌に感染するウイルスは、おそらく地球上でもっとも多様かつ数の多い生物学的存在である。ウイルスは、原核生物の防御システムに対抗するために、多様な戦略のセットを進化させてきた。バクテリオファージや、古細菌に感染するウイルスの数が多く、複雑な共進化的戦略を介して宿主免疫を回避する能力は良く知られていることから、ウイルスの攻撃に対して同様に複雑な適応免疫防御が存在することも予想される。しかし著者らによれば、そのような機構はこれまでほとんど知られていない。この研究でLinyi Gaoらは、現在明らかにされている原核生物のゲノムのほとんどについて、バイオインフォマティクスの手法を用いて防御遺伝子の予測を行った。さらなる実験的検査により、29の新規防御機構が幅広く認められ、配列が分かっている全ての原核生物ゲノムの約3分の1に集合的に存在しており、これらは特定のウイルスに対する抗ウイルス防御に関与しているらしいことが明かにされた。Gaoらによれば、これらの機序の多くは、抗ウイルス活性と関連することが知られていない酵素を利用している。今回の結果は、自然界に存在する微生物集団における抗ウイルス耐性および宿主‐ウイルス相互作用の理解を深めるだけでなく、技術的な応用を進めるうえで、広範な意義を有する。

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