News Release

大型獣脚類が「急速に成長し、若死にする」ことから、恐竜界の構造と多様性が変わった

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究報告によると、ティラノサウルスのような大型獣脚類の幼体が、本来ならばそれらより小さい肉食動物が占めていたであろう生態学的地位を占めることによって、中生代を通して恐竜界が形成されていたという。この研究結果から、中生代に巨大恐竜の種多様性に比べて小型恐竜の種多様性がかなり低かった理由が説明できる。1億5,000万年以上もの間、恐竜は陸上の生物多様性において優位を占めていたにもかかわらず、種はあまり豊富ではなかった。このことは特に体重60キロ以下の小型恐竜に当てはまるが、このパターンは、他の脊椎動物群のパターンとは異なる。多くの場合、小型および中型の動物は幅広い生態学的地位や餌源を共有できることから、そういった種は一般的に地域を超えて最も高い多様性を示し、それら動物群には概して様々な体のサイズの種がいる。しかし、こういった説に反して、中生代には体重1,000キロを超える大型恐竜種 ―― ティラノサウルスレックスのような巨大肉食恐竜 ―― が最も多様性に富んだ恐竜群であった。最も巨大なその恐竜は生まれた時には比較的小柄だが、それ以降は、生まれて間もない頃と成体との体格差が大きい上に幼体時に急成長することから、ライフステージごとに使う資源は違ったと考えらえている。また、このことが化石記録に見られる恐竜群の多様性と独自の体格分布に影響したとも考えられている。Katlin Schroederはこの仮説を検証すべく、1億3,600万年間の7大陸にわたる550種を超える43の恐竜群を表すデータセットを分析した。Schroederらの分析結果により、大型獣脚類の「急速に成長し、若死にする」という生き方が恐竜界に影響していたことが判明した。今回の結果では、大型獣脚類のいる世界各地の動物群集では体重100~1,000キロの中型肉食種が非常に少なかったことが示された。この体格差は肉食恐竜群においてそれらの生息地や棲息時期にかかわらず顕著であった。Schroederらによると、このとは、大型獣脚類より体の小さい動物群が利用できたであろう生態学的地位に成長の速い大型獣脚類の幼体が代わって押し寄せて優位を占め、中型肉食動物の形態学的および機能的役割の両者を果たしていたことを示しているという。またこれによって、中型肉食動物の化石記録がないことも説明できるとSchroederらは述べている。

###


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.