News Release

OSNAPの係留アレイから大西洋循環の変動に関する新たな見識が得られた

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究の報告によると、「北大西洋亜寒帯循環プログラム(Overturning in the Subpolar North Atlantic Program、OSNAP)」(大規模な海洋力学の監視を目的とした大西洋横断の国際共同観測システム)の初期結果は、ラブラドル海における深層水生成が「大西洋子午面循環(Atlantic Meridional Overturning Circulation、AMOC)」の変動を引き起こすという一般的見解とは矛盾しているという。OSNAPが最初の21ヵ月間に観測した記録結果によると、ラブラドル海が果たす役割はそれほど重要ではなく、むしろ、グリーンランド東部の深海海盆を通って南へ移動する深層水が、AMOCの変動を左右しているという。大規模な大西洋循環パターンは、大量の熱エネルギーを再分配することで北半球の気候調整に大きな役割を果たしており、暖かで塩分の多い熱帯表層水を冷たい北緯海域に運んでいる。この海水が冷えると、密度が高くなって沈んでから南へ流れ、深海を通って低緯度海域に戻る ―― この過程は深層水生成とも呼ばれる。著者らによると、現行の気候モデルでは、北大西洋の深層水形成が途絶えることにより、AMOCが減速または停止するはずだという厳しい結果が予測されている一方で、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新の報告では、AMOCの減速が来世紀中に起こると予想されているという。2014~2016年にOSNAPの係留アレイから得られたデータを用いて、Susan Lozierらが時系列を作成したところ、大西洋全域で循環に顕著な変動が見られ、特にグリーンランド東部海域ではラブラドル海の7倍近く変動が大きかったことが明らかになった。Lozierらによると、初期結果によってAMOCに関する長年の考えが見直されたとともに、切望されていた数値モデルの評価基準が得られたが、この現象を完全に理解するにはさらに長期の観測が必要だという。関連するPerspectiveでは、Monika Rheinが「OSNAPの係留アレイから得られた有望な結果と、重要な海域であるラブラドル海に近いことと、AMOCの変動を生じる過程に関して浮上した疑問とが、今後数十年にわたりOSNAPの係留アレイを継続しようというすばらしい動機になった」と述べている。

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