News Release

右手の親指を左腕に変換する

バーチャルリアリティによる身体部位再マッピング

Peer-Reviewed Publication

Toyohashi University of Technology (TUT)

Motion image on the HMD (left) and movements of the actual right thumb (right)

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豊橋技術科学大学の大学院生近藤亮太(日本学術振興会DC特別研究員)と大学院生谷大和,教授北崎充晃,および慶應義塾大学の准教授杉本麻樹と教授南澤孝太,東京大学の教授稲見昌彦による研究グループは,バーチャルリアリティを用いた視覚と身体運動の連動によって,右手の親指をバーチャルな左腕に変換する身体部位再マッピングが可能なことを示しました。ただし,従来の同じ身体部位同士のマッピングと比較すると,異なる身体部位間の再マッピングによる身体所有感は弱いものでした。この研究は,人間拡張における身体図式を拡張し,その限界を理解するのに貢献します。このような身体部位再マッピングは,将来の新しい機能性義肢の開発にも貢献するでしょう。この研究はオープンアクセス誌「Frontiers in Robotics and AI」に2020年3月19日に発表されました。

身体所有感の錯覚は,視覚と身体運動の同期によっても生じます。つまり,バーチャルな身体が自分の身体と同期して同時にうごくと,そのバーチャルな身体がまるで自分の身体のように感じます。その方法によって,透明な身体(Kondo, et al., Scientific Reports, 2018)など様々な見た目の身体に所有感を感じることができます。しかし,これまでの多くの研究では,バーチャルな身体部位と実際の身体部位は対応していました。例えば,バーチャルな左腕は,実際の左腕が動くときに同期して動きます。

研究グループは,実際の身体部位と異なるバーチャルな身体部位を対応させることに注目しました。2017年には,左右の足で身体に追加された左右のロボットアームを操作するシステム「メタリム(MetaLimbs)」を開発しました(Sasaki, Inami et al., SIGGRAPH 2017)。しかし,このロボットアームに対する身体所有感について詳しくは調べられていません。そこで,研究グループは,バーチャルな左腕と実際の右手の親指という身体における階層性が異なる水準での再マッピングが可能か,そこに身体所有感が生じるかを明らかにすることを目的とし研究しました。

20人の成人が右手の親指を動かしながら,頭部搭載型ディスプレイを装着してバーチャルな左腕を観察しました。バーチャルな左腕は,右手親指と同期して運動する場合と,無関係に運動する場合がありました。同期して運動する条件では,自分の右手親指がバーチャルな左腕になり,その左腕が自分の身体の一部であるかのように感じられました。ただし,この身体所有感はあまり強くなく,通常の同じ身体部位同士の同期により生じる身体所有感よりも弱いものであることが示唆されました。これは,実験における再マッピングが5分間しか行われていないことも原因の1つであると推察されます。

この研究は,人の身体観や身体図式を拡張し,人間拡張技術の可能性や限界を調べることに貢献します。このような身体部位再マッピングは,将来の新しい機能性義肢や身体化技術の開発にも貢献するでしょう。

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Reference: Kondo, R., Tani, Y., Sugimoto, M., Minamizawa, K., Inami, M., and Kitazaki, M. (2020). Re-association of Body Parts: Illusory Ownership of a Virtual Arm Associated with the Contralateral Real Finger by Visuo-motor Synchrony, Frontiers in Robotics and AI., doi: 10.3389/frobt.2020.00026

Funding: 本研究の一部はJST ERATO JPMJER1701(稲見自在化身体プロジェクト)および科研費(P19J12660)の補助を受けて実施されました。

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