News Release

深海地震の音を用いて海洋温暖化を調べる新しい方法

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

海底地震が発する音波を用いることによって、現在はほとんど実施されていない方法について、新しい見解が示された。その方法とは、世界中の海洋温暖化を調べるための、「地震海水温度測定法(seismic ocean thermometry)」という方法である。本論文の著者によると、東インド洋でこの方法をテストしたところ、10年間の温暖化傾向が以前の推定を上回ることが明らかになった。この方法を用いれば、海洋温暖化の速度とパターンおよび気候変動に及ぼす影響について、観測能力の向上が大いに期待できるという。将来の気候変動を理解および予測するうえで、海洋温暖化の監視は極めて重要だが、依然として定量化が難しい現象であり、広大で極めて深い海のほんの一部からサンプルを取る、一点測定の結果も比較的少ない。Wenbo Wuらは地震海水温度測定法を導入し、繰り返し海底地震が発する低周波音波を用いて、かなり大きな規模で海水温度を割り出した。海水中の音速はその温度によって決まる。従って、音源と受信機の間を音波が移動する時間の変化から、遠く離れた深さでの平均海水温度を推測できる。この原理は、海水温度を監視する方法として40年以上前に初めて検討されたが、法外な費用と人工音源が海洋哺乳類に及ぼす影響への懸念から、実施は断念された。今回、Wuらはこの技術を復活させ、自然に発生する海底地震を低周波音波として使用すれば、受動的に実施できることを実証した。著者らは温度変化を推測するために、東インド洋で2004年12月から2016年6月にかけて発生した、2047組の「繰り返し」地震のデータを収集および分析した。このデータを用いて、3000キロメートルに及ぶ海盆全域の温度プロファイルをまとめた。その結果、10年間の温暖化傾向が以前の推定を大幅に上回ることが示唆された。関連するPerspectiveではCarl Wunschが、「Wuらは、海洋物理学と古典的な地震学的手法を組み合わせた興味深い方法で、地球規模で実施できるまったく新しい観測システムへの道を切り開いた可能性がある」と述べている。

###


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.