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セレンゲティ中心部に押し込まれる:保護区周縁における人間活動の影響

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

保護区(PA)を取り囲む境界地における人間活動と景観破壊によって、広範囲に影響が及び、保護を目指す生態系が弱体化しているおそれがある。東アフリカのセレンゲティ・マラ生態系における40年間の観察記録を利用した新しい研究によると、外縁でのこうした活動が生態系の中心部の生態的機能にまで影響を与えているという。この結果から、PAを取り囲む景観において自然資源管理の役割を見直す必要があることが浮き彫りになった。PAは脆弱な生物多様性や生態系を保全するのによく利用される重要な手段となっているが、3分の1近くは人間の圧力を強く受けている ―― 特に境界沿いの人口や活動の急増による圧力が大きい。しかし、こうしたエッジ効果はまだ十分に解明されていないだけに、地域を保全するためのPA戦略が持続可能かどうかは不明である。境界部で高まる人間の圧力によってPAが受ける影響について理解を深めるため、Michiel Veldhuisらはセレンゲティ・マラ生態系(地球最大級のPAであり、200万頭を超える移動型の大型草食動物が生息する)の長期データをまとめた。相関的に見て、セレンゲティ・マラを取り囲む地域における人口が過去20年にわたり増え続けるにしたがって、農地や牧草地への変更も進んでいる。Veldhuisらは、こうした人間活動によって4万平方キロメートルのPAの中心部に野生生物が「押し込まれ」、結果として生態系の生態的機能や健全性に影響が及んでいることを見出した。この結果は、火災の発生様式や野生生物の移動や放牧パターンが景観規模で変化したことと、極度の干ばつに対して脆弱性が増したことを示している。著者らによると、こうした影響は世界中にあるその他多くの大きなPAでも共通して見られる可能性が高いという。

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