News Release

8000年にわたるイベリアのゲノムの歴史を表にする

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、270人以上のイベリア人から回収した古代DNAを使って、イベリア半島の8000年にわたる遺伝子の歴史がつなぎ合わされたという。この研究はイベリアの古代人口を形づくった重要な出来事を明らかにしたことに加え、有史以前から現在に至るまでの高精度の古代DNA記録から、ある地域の当時の人口構成に関する詳細な情報が得られることも実証した。古代DNAの研究は、この残された遺伝的遺産が示すような古代人の移動や移住を垣間見る機会を提供するとともに、地球規模の生物地理学に関して、また遺伝的混合が当時の人口や文化に与えた影響に関して、理解を広げるのに有用性が増している道具でもある。イベリア半島は、現在のスペインとポルトガルを含む地域であり、北アフリカと欧州と地中海の間に位置する。著者らによると、周辺地域との長年にわたる交流の歴史をもつイベリアでは、地中海東岸や北アフリカから欧州大陸への移住がもたらした遺伝学的影響を研究するうえで、理想的な機会が得られるという。Iñigo OlaldeとDavid Reichらは、271人の古代イベリア人の全ゲノムデータをまとめ、8000年近くにわたりこの地域に流入・拡散した遺伝子流動の包括的な年表を作成した。Olaldeらは、以前にさまざまな場面から回収した古人骨(7000年近く前に山腹の洞窟に一緒に埋葬された遺伝的兄弟など)から古代DNAを抽出した。深く幅広い分析の結果、イベリア半島のゲノムの歴史を形づくったいくつかの出来事が明らかになった。その結果によると、この地域における中石器時代の狩猟採集民の人口構造は、これまで考えられていたよりはるかに複雑だったという。また著者は、紀元前2500年ごろには北アフリカと小規模ながら初期の交流を行っていたことも思いがけず突き止めた。またこの結果から、ポントス・カスピ海草原から東へ移住した人々が及ぼした多大な影響も明らかになった ―― 紀元前2000年ごろにはイベリアの祖先の約40%と同地域の男性の約100%が、海草原に祖先をもつ人々に取って代わられた。興味深いことに、遺伝的データと言語学を組み合わせたところ、海草原に祖先をもつ者が多い現代のバスク人には、イベリアのその他の人々を形づくった後の時代の遺伝的混合の証拠がないことも明らかになった。関連するPerspectiveでは、Marc Vander Lindenが考古学調査において遺伝学に基づく手法が果たす役割を論じ、その最善の実施方法について学際的な提案を行っている。「他の改革と同じように、古代DNAの遺産も技術的進歩の観点から評価されるだけでなく、有意義な結果(Olaldeらが実証した遺伝的混合の出来事など)を生み出す能力によって評価されることになるだろう」とLindenは述べている。

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