News Release

新たに受賞した研究から再生医療における免疫介入の可能性が明らかに

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Joana Nevesは、加齢に関連する変性疾患を遅らせることを目的とした幹細胞を用いた再生医療のアウトカムを改善する有望なアプローチを提供したその研究により、2019年度のSartorius & Science Prize for Regenerating Medicine & Cell Therapyの大賞を受賞した。これまで自然な加齢のプロセスが再生医療の臨床適用を妨げてきたが、今回の研究結果は、慢性疾患や多くの場合は衰弱性の変性疾患を有する可能性が最も高い高齢者において、そうした障害に取り組む助けとなる。Nevesによれば、加齢が多くの組織において再生能の低下と関連し、これは主として、加齢や疾患の影響を受けた組織に共通してみられる炎症環境によるものである。慢性炎症を解消し、組織修復に適した環境を促進するための方法を探索することは、幹細胞を用いた治療の成功率を改善するための効率的かつ効果的な方法となる可能性がある。Nevesは、ミバエの一種であるキイロショウジョウバエ(Drosphila)をモデル生物として用いて、組織修復のメカニズムとして進化の過程で保存されてきた、免疫調節分子MANFを、網膜組織の再生医療における成功率を高めるために利用できる可能性を見出した。MAMF蛋白質は、加齢に関連する炎症を抑制する上で不可欠である一方、若い組織において組織の維持を促進する上でも重要である。NevesはMAMFによる介入を、光受容器に対して幹細胞を用いるphotoreceptor replacement therapyを併用することで、高齢の視覚障害マウスにおける視覚の回復を大幅に改善することができ、この新たなアプローチが臨床的に有用であることが示された。「(この)研究は、免疫調節介入が、加齢と疾患の影響を受けた器官に対する再生治療の成功率を改善するための効果的な戦略となり得るという、原理証明を行ったものである」と、Nevesは述べた。

この賞の最終選考に残ったのは、Arun Sharmaのエッセイ「幹細胞で心臓を助ける(Stem cells to help the heart)」およびAdam Wilkinsonのエッセイ「血液疾患における希望(Hope for hematological diseases)」であった。

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