News Release

マラリア原虫の生活環における「マラリア細胞アトラス」により遺伝子クラスター、薬物標的候補が明らかに

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

マラリア原虫のゲノムは特徴が明らかにされていない多くの遺伝子をコードしていることがこれまでに示されているが、研究者らは数千のマラリア原虫に対するシングルセルRNAシークエンシングを実施し、マラリア原虫の複雑な生活環の全体にわたる高解像度アトラスを初めて作成したと報告している。著者らはこのリソースを「マラリア細胞アトラス(Malaria Cell Atlas)」と呼んでいる。このアトラスは、マラリア原虫の遺伝子の機能および調節に関する新たな洞察をもたらし、これにより「薬物、ワクチンおよび診断ツールの開発に取り組む者や、薬物耐性が拡散する機序について理解しようとする者にとって、どの遺伝子を優先するかをより効率的に行える」はずである、とElizabeth Winzelerは関連するPerspectiveで記している。マラリアは、重篤で時には致死的なヒト疾患であるが、プラスモジウム属の単細胞生物によって引き起こされる。ヒトに感染することが知られているのは6種のみであるが、様々な動物種に感染することが知られているプラスモジウム属は100種を超える。しかし、これらの小さな寄生虫が特異であるのは、多様な形態を呈する段階を経て、脊椎動物および無脊椎動物の両方の宿主における細胞環境で生存することを可能にする、複雑な生活環である。マラリアは世界的に最も多くみられる感染性疾患の一つであり、年間で50万人近くの死亡と数億人の感染をもたらすが、この小さな寄生虫について分子レベルで分かっていることは少ない。Virginia Howickらは、マラリア原虫のげっ歯類モデルであるネズミマラリア原虫(Plasmodium berghei)の1,787の個体についてシングルセルのトランスクリプトームプロファイリングを、媒介動物の蚊から宿主である哺乳類にわたる、その生活環の全段階について実施した。Howickらは、生活環の全段階を通じて機能が保存されている一群の遺伝子を発見し、これらは今後の新しい治療の標的となる可能性がある。著者らはドロップレットシークエンシングを用いて、さらにプラスモジウム属の3つの種について15,000個を超える細胞(感染したヒト患者から直接分離したものを含む)のシークエンシングを行った。こうして著者らは、対象とした種における発達段階の特徴を明らかにして順番に並べることができ、全段階において遺伝子発現にみられる差異と類似性の両方について知ることができるようになった


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.