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片利共生細菌「ワクチン」により、髄膜炎を引き起こす近縁種に対する免疫細胞が準備される可能性がある

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

研究者らは、近縁種の無害な片利共生細菌を健康被験者26例に接種して、危険な細菌に対してワクチン様の免疫反応を引き起こすことに成功した。このfirst-in-human対照感染研究により、この戦略が安全であることが示された。すなわち、副作用は報告されず、これら被験者から同居者に対して90日間にわたりこの共生細菌が感染することはなかった。Neisseria lactamicaは通常、小児の上気道に常在する細菌叢に含まれているが、成人の気道にも安全に保菌させることができる。一部の研究者らは理論上、より危険な細菌に由来する分子を呼吸器系に送達することで、これらの細菌を免疫化のための媒体として用いることができるとしている。しかし、片利共生菌は通常、免疫寛容の状態にあり、N. lactamicaに遺伝子操作を加えて細菌抗原を送達できるようにするのは難しい。ところがJay Laverらは、ワクチン抗原としてNeisseria Adhesin Aを発現するN. lactamicaの作製に成功した。Neisseria Adhesin Aは、髄膜炎を引き起こし得る近縁種のNeisseria meningitidis, に由来する蛋白質である。著者らは、26人の成人被験者に対して、遺伝子操作したN. lactamicaを鼻腔内に接種し、その生存は被験者の86%で90日間持続した。この保菌により、Neisseria Adhesin Aに対して形質細胞とメモリーB細胞の両方により28以内に免疫反応が発現し、B細胞の生存は保菌後少なくとも90日間持続した。被験者に有害反応はなく、どの被験者からも同居する接触者にN. lactamicaの伝播は認められず、N. lactamicaは抗菌薬により90日後に根絶できた。Laverらは、今回開発したこの送達システムが、呼吸器細菌叢の操作や、アレルゲンに対する免疫寛容の誘導など、他の分野にも応用可能であると結論付けている。

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