ジカ熱やデング熱などの感染症を高感度で診断するために利用できるCRISPR-Casが作られた。この進歩は、他の多数の病原体の迅速な検出と診断の促進にも役立つと考えられる。遺伝子配列を検出するための方法はいくつかあるが、感度、特異度、単純性、費用、速度のいずれかに欠点がある。Feng ZhangとJonathan S. Gootenbergらは、より効率の良い方法を探して、RNAを標的としたCRISPR-Casシステムに目を付けた。標的RNAとの結合により、この特別なCas酵素が活性化され、近傍のRNAが無差別に切断される。ZhangとGootenbergらは、切断されたときに蛍光シグナルを出すレポーターRNAを用いてCRISPR-Casシステムを検討し、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅と呼ばれる技術を用いてさらに感度を向上させた。この組み合わせにより、研究チームがSHERLOCK(Specific High Sensitivity Enzymatic Reporter UnLOCKing)と名付けたシステムが生み出された。SHERLOCKは、血清、尿、唾液中のかなり低力価のジカウイルスを検出でき、ウイルス量の測定にも利用できる。次にZhangとGootenbergらは、この技術が異なる細菌株の識別に有効であり、異なる耐性変異を有する細菌性肺炎の株も区別できることを明らかにした。そして最後に、SHERLOCKがさまざまな癌変異の検出にも利用できることを示した。SHERLOCK検査は、数日以内に1検査あたりわずか0.61ドルで再デザインして合成できる。このシステムの高い感度によって、生体分子の迅速かつ頑健で高感度な検出に向けた新しい道が拓かれるだろうとZhangとGootenbergらは述べている。
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