News Release

温暖化によってアメリカ西部でチョウが減少、市民科学データを用いた研究で判明

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

専門の科学者と市民科学者が収集したデータを利用した新しい研究によると、アメリカ西部ではこの40年間に気候変動によって徐々に秋の温暖化が進み、チョウの個体数の減少を招いているという。この研究結果によって、チョウ個体群に対する気候変動の潜行的な影響が新たに浮き彫りになったとともに、チョウの保護に向けた新たな策の必要性が示された。「人為的気候変動の進行を制限しなくても緑地を法的に保護すれば足りると思い込んではならない」と著者らは書いている。この数十年間、昆虫の個体数と多様性の広範囲にわたる減少が確認され、警告が発せられる中、近年の授粉媒介種の急激な減少はとりわけ強く懸念されている。マルハナバチやチョウといった小型授粉媒介者は、野生および農作植物群が長期的に生き延びるために不可欠である。それらは多くの点で生物多様性の完全性、世界食物網、人間の健康にとっても極めて重要である。授粉媒介者減少の主要要因は気候変動だと推測されるものの、それ固有の影響は明確になっていない。生息地喪失や農薬使用といったまん延する他のストレス要因が混在する中、気候変動固有の影響を分離するのはむずかしい。Matthew Foristerらはこの難題に取り組むべく、専門の科学者らと市民科学者らが収集したチョウ観察のデータセット3つ ―― シャピロのトランセクト調査、北米チョウ協会(North American Butterfly Association)、iNaturalistのウェブプラットフォーム ―― を組み合わせた。これらのデータを合わせると、アメリカ西部一帯70を超える地点の450種以上のチョウが網羅できる。Foristerらはこれによって、土地の利用状況が異なる地域(大都市から国立公園保護地区まで)、および多様な気候の広大な生息地が存在する標高と緯度の異なる地域において、気候変動に関係する温暖化と乾燥がチョウに及ぼす影響を評価した。その結果、この40年間のチョウ個体群の年間減少率は1.6%であったことが判明した。Foristerらはこの減少の原因は複雑で多面的だとする一方で、多数のチョウの種で見られた個体数減少は大部分が気候変動‐特に秋の温暖化‐に起因することを確認した。

本研究では市民科学者らの取り組みも活用されており、市民科学者が導き出した結果は本研究の著者らの間でひとしきり注目されていました。北米チョウ協会のトップであるJeff Glassbergは多数の市民科学およびボランティアプロジェクトを推進しており、その中には近い将来に向けて計画されたプロジェクトも複数あります。これらの活動に興味がある方は、glassberg@naba.orgでDr. Glassbergにご連絡ください。本論文の著者であるKaty Prudicは、具体的には北米におけるチョウ観察のオンラインデータベースeButterflyプログラムを通して、クラウドソーシングによるチョウ観察などの市民科学プロジェクトにも協力しています。Katy Prudicへはklprudic@gmail.comでご連絡ください。

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