News Release

飲み込まれる星から放出されるX線の振動によって得られるブラックホールの特性に関する新たな知見

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ほぼ2億9千万光年の彼方にある超大質量ブラックホールの潮汐力によって破壊される星から放出される電磁エネルギーの流れによって、ブラックホールの物理的特性に関する貴重な情報が解明されることが新たな研究によって分かった。他の方法を使用して観測することが困難であった種類のブラックホールを解明する新たな方法が、この研究結果から得られた。ほぼすべての巨大銀河の集団の中心にはブラックホールが存在すると考えられている。大部分は何ら活動に関係しておらず、観測可能な電磁放射線を放出していないので、発見するのが困難である。しかしながら、これらの超大質量ブラックホールでは時として、星がすぐそばを通過すると、超大質量ブラックホールの巨大な引力によって引き込まれ、引き裂かれてバラバラにされて、破片が吸い込まれてしまう。これらの星の出来事は潮汐破壊現象(TDE)としても知られており、X線などの放出される電磁エネルギーによって簡単に観測することができ、当該現象によって質量およびスピンというブラックホールを定義する特性を測定する機会が提供される。ブラックホールの質量はそのホスト銀河の特性から推測することができるが、そのスピンを評価することが課題となっていた。今回の論文の著者らによると、TDE後の星の破片から放出されるエネルギーを利用して、大質量ブラックホールのスピンを決定することができる。Dheeraj Pashamらは、超新星全天自動サーベイによって2014年に発見されたTDE であるASASSN-14liの観測について報告している。Pashamらは、このTDEによって放出されるX線が131秒毎に準周期的に振動して変動することを発見した。このX線振動のさらなる解析から、安定的だが、急激な振動がブラックホールの事象の地平面に近接した軌道を回る星の破片からのみ発生し得ることが示唆され、このブラックホールが急速にスピンしていることが示された。さらに、この電磁信号が安定的であることから、他の過渡的な天文現象ではなく、このブラックホール自体の物理的特性(すなはち、質量およびスピン)から現れていることが示唆された。

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