人気のあるCRISPR-Cas9遺伝子編集システムが、Yang Liuらが明らかにした新しい技術によって大きくスピードアップした。この技術は、このプロセスの重要なDNA切断段階を、光を使って制御する。Liuらが急速CRISPR（very fast CRISPR）と呼ぶこの成果は、切断時間を数時間から数秒へと短縮する。この急速システムにより、研究者は、DNA修復の非常に初期の段階の分子ステップを高い分解能で研究でき、遺伝子編集を単一アレルレベルで制御できる。CRISPR-Cas9遺伝子編集の際、Cas9酵素は、編集すべき遺伝物質のある場所でDNAを切る「はさみ」である。Cas9はガイドRNA分子によって正しい位置のDNAに結合するが、このプロセスは即刻行われるものではなく、数時間かかることもある。Liuらは、Cas9の作用をよりよく制御するため、ガイドRNA配列の一部を光感受性ヌクレオチドに変更して、Cas9をDNA標的に結合させることができるが、ガイドRNAに光を当てるまで酵素による切断が行われないようにした。この「ケージド」RNAにより、研究者は数秒の時間尺度で切断を制御して、DNA鎖の修復をはじめから観察できる。また、このプロセスは非常に正確なため、1回に1つのアレルの遺伝子を編集でき、複雑な遺伝的性質を検討するためにヘテロ接合性の変異を作出する方法を提供できる。関連したPerspectiveでMaria Jasinが、この技術はCRISPR-Cas9編集をおおまかな技術から精密な技術に変えるのに役立つだろうと指摘している。
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