News Release

睡眠が少ないと、脳内のタウの放出が増える

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

睡眠覚醒周期が脳内のタウタンパク質の濃度に影響を与えることが、動物とヒトを用いた新しい研究で示された。研究の著者によれば、タウタンパク質は覚醒期に脳液中に蓄積し、この問題は断眠期に悪化する。したがって、睡眠覚醒周期の最適化が、アルツハイマー病(AD)およびその他のいわゆるタウオパチーの予防において検討すべき重要な治療標的である。ニューロンに存在するタンパク質であるタウは、脳間質液(ISF)中に放出され、ADなどの疾患で問題となる凝集を起こすことがある。また、いったんある領域でタウの凝集が起こると、他の脳領域にも広がる場合がある。タウはニューロンのシグナル伝達により放出され、放出量は覚醒期の方が多い。これまでに、睡眠パターンの変化とβアミロイド濃度の上昇との関連性が示されている。今回著者らは、睡眠覚醒周期が、タウ(神経変性にさらに密接に関連しており治療介入の重要な標的である)に与える影響を検討することを試みた。Jerrah Holthらは、睡眠パターンを混乱させたときのマウスの脳ISFのタウ濃度を検討した。マウスが70%の時間覚醒していた場合、タウ濃度はいわゆる暗期への移行時に2倍増加した。次にHolthらはISFタウに対する断眠の影響を理解することを試みた。マウスを用いた実験では、断眠によりこれらの濃度が有意に増加した。次に、断眠したヒトおよびアミロイドβが増加したヒトから過去に採取した脳脊髄液検体を用いて、タウの濃度が同様にアミロイドβよりも増加していることを明らかにした。マウスで長時間断眠を行うと、脳全体でタウの広がりが促進された。まとめると、これらの結果および他の結果は、睡眠覚醒周期がマウスのISFタウおよびヒトのCSFタウを制御していることを指摘している。

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